しなやかな私をつくる本 vol.12~『可愛いままでこう働く』~
女性が生き方や考え方をアップデートし、つよくしなやかな自分を目指すのに役立つ本を月に1冊紹介します。
「可愛いままで年収1,000万円」スタイルは、72のリストから生まれた
突然ですが、「年収1,000万円」という数字をきいてどう感じますか? 突拍子もない金額? 身を粉にして働けばなんとかなりそう? 大変な思いをしてまで、1,000万円稼ごうとは思わない? いろいろな意見があると思います。
でも、自分のスタイルやペースで、好きなことをして年収1,000万円は叶う。そんな夢のような方法を紹介した本『可愛いままで年収1,000万円』が、2015年に話題を集めました。著者はワークライフスタイリスト、宮本佳実さん。
宮本さんの「好きなことで、好きなときに働くスタイル」に至るまでの過程や、具体的な働きかた、お金に関する考えかたが書かれています。今回は宮本さんの3作目の著作『可愛いままでこう働く』をとりあげます。
本書で紹介されているのは、「高学歴でもないし、特別な才能があるわけでもない」という宮本さんが、彼女流の新しい働きかた・生きかたを発信するまで、そして現在も続けている全72のリスト。そのなかから、私たちアラサー世代がマネしたい項目をよりすぐってご紹介します。
覚悟を決めて好きなことをする
世の中には「好きなことを仕事にしている人」のほうが少数派。仕事とプライベートは完全に切り離している人も多いです。そのためか、宮本さんのもとにも「好きなことって、本当に仕事になるんですか?」と質問が寄せられることが多いといいます。さらに「好きなことって、お金になるんですか? 食べていけるんですか?」といった問いも。
1つめの質問にはイエス、2つめの質問には「儲かるかどうかはわかりません」と答えるという宮本さん。確実に安定した仕事など、世の中にないのです。たとえ会社に勤めていても、倒産したり、リストラされたりするかもしれない。一方、起業してうまくいく人も、うまくいかない人もいます。
それでも、好きなことを仕事に選ぶと、興味のない仕事よりも夢中になれて、やる気やエネルギーもあふれてくる。だから「成功する確率も、豊かになる確率も格段にあがると思う」と宮本さん。好きなことは続けていても、そう簡単には飽きません。だからこそ、それだけで幸せで、成功に近づいている、ともいえます。
さらに、宮本さんは力強い言葉で締めくくっています。「自分の人生は自分で選べる。だからこそ、好きなことを好きなだけする覚悟を」と。自立して生きている私たちは、自分の人生を好きなようにデザインできるのです。その可能性を信じて、好きなことに邁進するのも、人生を楽しくするためのひとつの選択肢となります。
どちらも正解と言える強さを持つ
なにがなんでも白黒つけようとする――そんな人もいますが、「そういう考えかたもあるなぁ」とおおらかに受けとめられるほうが、いま起きているできごとやトピックを俯瞰できるはず。客観的な視点を持つことにつながります。
宮本さんも、「AとBどちらが正しいのか」といった論争には、あまり意味を感じないと話します。「自分の正解をきちんと見極めて、人生を楽しんでいれば、ほかの人にとっての正解も『それもいいよね、すてきだね』といえるはずです」と語っています。
人の考えを批判するのは、自分の考えに自信を持てずにいるから、といった背景もありそうです。自分の考えというのは、やはり自分が選びとったもの。選んだのは自分です。自分の意思で取捨選択したものには、責任と自信を持ちたいものです。
がんばったときでも自慢はしない
仕事を通じて数々の成功者と会ってきた宮本さん。突き抜けて成功している人たちに共通していたのは、「私はこんなにがんばった」と自慢する人がひとりもいなかった、ということだそう。彼らはそろって「ただ楽しいことをしていたら、いつの間にかこうなっていました」と語るのだといいます。
宮本さん自身もインタビューされるとき、自然と「楽しいことを続けてきただけ」と答えている自分にふと気づきます。やはり、好きなことを人生の軸において突き進んでいると、「がんばる」といった概念がなくなるのかもしれません。
ごく自然な形で好きなことと向き合い、それをあたりまえのこととして、暮らすように働いているのでしょう。「がんばっている」とか「一生懸命働いている」といった意識はなく、呼吸するように取り組んでいるのだと思います。
「がんばる」感覚が抜け落ちるくらい、目の前の好きなことに淡々と、真摯にとり組む人生は幸せであふれそうです。
男性と対抗するような形ではなく、自分らしく、女性らしさを保ちながら、かつ楽しみながら働く――それが「可愛いままで働く」ということ。自分らしい働きかた、生きかたを考えたい方にぴったりな1冊です。