わたしらしい起業のかたち Vol.1 キャンドル作家 minoriさん
編集者/ライターの池田園子が、週末起業家や個人事業主、経営者など、さまざまなスタイルで起業している女性にインタビューする連載です。
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大事な人への贈り物に、キャンドルを選んだことがある人もいるのでは? 「キャンドルをプレゼントにと買ってくださった方、贈られた方……ふたりの方が喜んでくださるのがなによりもうれしいです」と語るのは、キャンドル作家のminoriさん。
夢への前段階として「週末起業」を果たし、ECショップ「手作りキャンドルcandle for」を運営しています。キャンドル制作・販売にとどまらず、体験教室やワークショップ開催なども視野に入れるminoriさんに、週末起業の話や将来の目標についてあれこれうかがってきました。
もっともしっくりきたのがキャンドルだった
Q. キャンドル制作に目覚め、週末起業するまでに至った経緯を教えてください
A. 1社目の会社を辞めようかどうか、モンモンとしていたころ、キャンドル制作と出会いました。もともとものづくりが大好きで、気分転換をしたくて陶芸やカメラのワークショップなど、いくつか体験しにいっていました。いろいろやってみたなかで、一番楽しかったのがキャンドルだったんです。
キャンドルは蝋を型に流し込めば完成、というわけではありません。半日~1日ほど経って型から抜くときにはじめて、どんな柄になっているかわかるんです。型をとり外す瞬間が一番ワクワクしますし、ほかのものづくりとの顕著な違いだと思います。
作る前は難しそうに見えましたが、びっくりするくらい簡単に、かわいいものを作れるんだなと感動したのを覚えています。10種類以上ある基本的な技法のなかには、難易度の高いものもあって、うまくいかないこともありますけどね。
キャンドル制作を体験してからは、日本キャンドル協会(JCA)認定キャンドルアーティストの資格を取得するために、全20回ほどのコースに通いました。期間にすると半年くらいです。技術をマスターするために、自宅でも道具を揃えて復習・練習に励みました。
その後、2015年夏にブログ、秋にHPを立ちあげて試行錯誤していました。販売をはじめて半年強になります。ハンドメイド品が好きな女性の集まりに参加してPRさせてもらったり、彼女たちの友だちに紹介してもらったりするリアルな口コミ経由、Twitterを中心とするSNS経由での拡散を意識しています。
作りはじめるとアイデアがとまらなくなる
Q. どのようなスケジュールでキャンドル制作をしていますか?
A. 基本的に平日夜と週末に制作します。平日はわりと早めな20時頃に帰宅できるときだけで、本業で疲れてしまった日はしません。大体2日くらいですね。21時頃から制作をはじめて、気づいたときには3~4時間経っています(笑)。いざ作りはじめると「あんなのもできそう」「こんなのはどうだろう」と、新作のアイデアが次々とわいてくるんです。週末は土日のどちらか1日を発送作業と制作にあてています。午前に発送、午後は制作といったスケジュールにしていることが多いです。
「個人の信用度の低さ」に驚いた
Q. 週末起業というスタイルをとっていて、大変だと感じることはありますか?
A. 大きく2つあります。1つ目は、本業との両立がしんどいなと感じるときがあること。単純に「本業が忙しくて制作の時間がとれない」といった問題だけではなく、モチベーションがさがることがあります。制作できない日が続くと、創作意欲が減ってしまうんです。最近は目標を決めてさきざきのスケジュールを決めて動いているので、すこしだけ悩みが解消されました。
2つ目は、個人の信頼性の低さを感じたこと。会社員だと会社というバックボーンがあります。社名を伝えれば対企業と難なく取引できますが、私一人でやっているキャンドル制作では、私といううしろ盾のない個人を信頼してもらわなくてはなりません。個人対企業と取引していて、それが難しいなと思うこともあります。
会社員として培ってきたことはキャンドル制作に生きている
Q. 本業とキャンドル制作とを行き来していて、いい影響を与え合っているなと感じることはありますか?
A. 本業→キャンドル制作では、役立っていることがいろいろあります。社内には同年代の女性が多く、女性のトレンドや興味関心をリサーチする場になっているので。さらに、前職の広報や現職のプロモーションの知識やノウハウは、キャンドル販売時に活かされていると思います。
キャンドル制作→本業では、直接仕事に活かされていることはないものの、キャンドルを作っている時間は最高の気分転換になっています。たとえ本業で落ち込んだり、イラッとしたりしても、キャンドルを作っていると気持ちが安らぐんです。
1年以内にキャンドル制作を「本業」にしたい
Q. 将来の目標を教えてください
A. 現時点では「副業」に近い規模感のキャンドル制作ですが、1年以内には独立して「本業」としてやっていくのが夢です。地元で暮らす父の背中を見ていて、改めてそう思いました。彼は昔から好きなスポーツ関連の仕事をしています。自分が好きなことを仕事にしている人を見ると憧れますね。
独立後は東京と家族が住んでいる大好きな地元を行き来しながら働きたいです。キャンドル制作は道具さえ揃っていればどこでもできますし、ワークショップも場所があればできます。夢に近づくためのノウハウを身につけ、いろいろなことに挑戦し始めた最近になって、そんな思いが顕在化してきました。
▽ キャンドルアーティスト minoriさん
2014年からキャンドルの制作をはじめ、2015年夏ごろから販売を開始。現在「あなたと、あなたの大切な誰かのためにあげたいキャンドル」をコンセプトに、candle forというブランドを立ち上げ、手作りキャンドルの制作と販売のほか、ワークショップなども開催している。
★お知らせ
5月28~29日の2日間、パシフィコ横浜で開催される「横浜ハンドメイドマルシェ」に出展します。