思い出のおやつはなんですか? 幸せな気持ちになれるエッセイ『3時のおやつ』レビュー
皆さん、「おやつ」は好きですか? 筆者はかなりの甘党なので、和菓子も洋菓子も大好きです! カフェ巡りも趣味なので、カフェで紅茶とスコーンを食べながら、本を読んでいる時間は最高に幸せです。
しかし「思い出のおやつ」を考えると、一番に頭に浮かぶのは、なぜかオシャレなケーキではなく、有楽製菓が製造している「ブラックサンダー」なのでした。だいたい30円のココア風味のチョコレート菓子。筆者は大学生のときに大学内のコンビニでアルバイトしていたのですが、おそらく当時一番売れていたお菓子だったはずです。箱買いしていく猛者もいたので「そんなにおいしいの!?」と思って食べてみたところ、サクっとした感触と、甘いチョコレートのマッチ具合がたまらず、それから一気にファンになってしまいました。今でもコンビニに行くたびに買ってしまいます。
「大切な思い出」とともに語られる、おいしそうな「おやつエッセイ」
今回ご紹介したい本は『3時のおやつ』(ポプラ社)。30人の人気クリエイターが、おやつにまつわる思い出を語ったエッセイ・アンソロジーです。思い出の「おやつ」を紹介しながら、当時のことを皆さんそれぞれ振り返っているのですが、読んでいるだけで思わずとろけそうになってしまいます。
といっても、お高いおやつが紹介されているわけではなく、「小学生のころ、木のうえで食べたバナナ」や赤い皮をむいて、さくさくとイチョウ切りにして作る「煮りんご」、差し入れに持って行ったら喜ばれる「手作りパウンドケーキ」など、身近なおやつが多く紹介されていました。
当時の記憶がよみがえるかも?
大人になった今は、「ブラックサンダー」も箱買いできるし、話題のスイーツも気軽に足を伸ばして食べに行くことができます。それはそれで幸せなことなのですが、本書にかかれているおやつは、今思い出すとそれほどおいしいものではないはずなのに、「“子どものころ通った駄菓子屋さんで買った特別な一品”なので、忘れられない……」といった思い出とともにかかれているので、読者も昔のことを思い出しながら、特別な気持ちで楽しむことができます。
駄菓子屋のおばさんが店のすみで焼いてくれた「お好み焼き」、腹ペコ男子学生だった時代に食べた「ぺヤングソースやきそば」、クリスマスシーズンになると出回る「サンタの長ぐつ」……。なつかしい気持ちとともに、幸せな気分でゆっくり読めるエッセイです。
あなたの思い出のおやつはなんですか? よかったら読んでみてくださいね。