芥川賞受賞作品もう読んだ? 『火花』と『スクラップ・アンド・ビルド』が想像以上におもしろい!
みなさん、先月発表された芥川賞受賞作品はもうお読みになりましたか? 又吉直樹さん作の『火花』(文藝春秋)と、羽田圭介さん作の『スクラップ・アンド・ビルド』(文藝春秋)。
この二作、どちらも不器用ながらも、自分の美学を信じて一生懸命に生きる若者が描かれているので、女子の皆さまにもぜひ読んでいただきたいです!
それでは、簡単ではありますが、内容をご紹介したいと思います。
『火花』(又吉直樹/文藝春秋)
まっすぐに生きる天才肌の先輩芸人と、彼の伝記を書くことを頼まれた僕の話
芸人である又吉さんが受賞したことでも話題になった『火花』は、天才肌で、自分の欲望にたいしてどこまでもまっすぐに生きる先輩芸人「神谷」さんと、彼の弟子になり、伝記を書くことを頼まれた後輩の「僕」の物語です。二人はそれぞれ別のコンビに所属しているのですが、ときどき一緒にお酒を飲んで「笑い」について熱く語り合います。二人とも売れているわけではないのですが、表現の場を得るため、それぞれのやり方で必死に格闘しながら生きています。
どんな状況であってもひたすら「自分らしく」生き抜く様子を見ていると「私はどうなのだろう……?」と自らの生き方を振り返りたくなります。ラストは思わず泣き笑いしたくなるかもしれません!
『スクラップ・アンド・ビルド』(羽田圭介/文藝春秋)
87歳のじいちゃんと無職の28歳の孫の対決!
高齢化社会でなにかと希望がもてない現代ですが、本書は87歳の要介護老人と、28歳の就活中の孫「健斗」の攻防戦が描かれた家族小説です。もう、この要介護老人である「じいちゃん」がすごいのです。「早う死にたか」が口癖で、毎日のように言っているので、孫の健斗は「それなら希望通りに死なせてあげるよ」と、ある計画を実行しようとすると、コレが全然思い通りにならないのです……。どうやら、孫のいない所で「じいちゃん」は死ぬ気なんて全然ないような行動をしているようで……!?
息がつまりそうな設定ではあるのですが、ときどき思わずクスッと笑ってしまうシュールな展開にもご注目ください。若者も、悲しんでばかりでなくて、闘わなくては! と思わされるとてもおもしろい作品です。
いかがでしたか? こちらの2作品は、おもしろさだけではなく「大変な世のなかだけど、自分らしく闘おう」と背中を押してくれるような本でもありました。登場人物が不器用ながらも、闘おうと前へ一歩踏み出す様子がとても印象的です! よかったらぜひ読んでみてくださいね。