大人女性に、恋に踏み出す勇気をくれるかも? サラリとよめる恋愛短編集『ラブソファに、ひとり』
恋に落ちるのは、いつだって突然です。予期しないタイミングでやってきます。自分でもタイプだと思わなかった人のことを急に意識し始めて戸惑ってしまったり、泣いたり笑ったり、感情が突然カラフルになったり、「恋」に落ちる感覚は、大人から子どもまで、実はあまり変わらないのではないか、と思うことがあります。
今回ご紹介したい本は、石田衣良さん作の『ラブソファに、ひとり』(角川文庫)という極上恋愛短編集です。大人の女性が、恋に落ちるときのお話が、9つ収録されています。書店を舞台にした書店員さんの甘酸っぱい恋物語から、ひとまわり年下の男性との恋の始まりを楽しむ人妻の物語まで、バラエティ豊かで、それでいてサラリと読める恋物語は、きっと気持ちが明るくなるはず! それでは少しだけ、中身をご紹介いたしますね。
『ラブソファに、ひとり』(石田衣良/角川文庫)
この物語は、9つの短編が収録されています。
表題作である「ラブソファに、ひとり」は、25年ローンでマンション購入を決めた35歳の「理沙子」が主人公です。ひとりぼっちでマンションを買うことを決意し、契約書にサインして、定年後の暮らしまで見通しを立てたにも関わらず、理沙子は帰りに立ち寄ったインテリアショップで、ふたりがけ用の「ラブソファ」を見た瞬間、急に結婚願望が湧き上がります。「今すぐ、誰とでもいいから、結婚したい」ラブソファを見た瞬間、身体を内側から焼くような強烈な結婚願望に襲われ、お見合いパーティに参加するなど、婚活を始めます。
一歩踏み出すと「恋」は動き出す!
そんな時、理沙子は会社の同期に夫の友人を紹介されます。始めはタイプではなかったものの、彼の思いがけない優しさや気遣いに触れ、彼女の恋は始まります。大人女性の、思慮深さや、自ら恋をつかみ取るワイルドさも描かれており、読後はフワリと背中を押されたような気持ちになりました。
他に収録されている短編もそうなのですが「あ!もっと恋って、ラクな気持ちで望んでも良いんだ。そんなに難しいことじゃないんだ。恋愛に年齢なんて関係なくて、恋がしたいなら、自分のありのままを、大人の余裕を少しだけエッセンスして、さらけ出せば良いんだ!」と教えてくれる物語でした。焦らず気負わず、前向きに「恋の始まり」に挑みたくなるお話です。都会のオシャレな雰囲気や食べ物の描写もとても素敵です。 気になる人がいるものの、最初の一歩が踏み出せず、どうすれば良いか悩んでいる方、よかったら本書を読んで、前へ進んでみてくださいね。