つかまるか、逃げ切れるか!? アラサー女子2人の、前代未聞の殺人劇『ナオミとカナコ』が面白すぎる!
「いっそ、二人で殺そうか。あんたの旦那」今回ご紹介したい本は、こんな恐ろしいセリフをサラッと吐き、DV男を殺すことを決意した、アラサー女子二人が前代未聞の事件を起こすミステリー『ナオミとカナコ』(奥田英朗/幻冬舎)です。
ところで「女性」って、腹を決めれば、かなり強いですよね。その強さたるや、男性とは比べ物になりません。大胆で時に狡猾なので、心の中では全く別のことを考えていても、心臓が早鐘を打っていても、顔色ひとつ変えず、相手をだまし抜くことができます。
今回はそんな、ギリギリまで追いつめられても決してヘコたれない女性二人を描いた、最高のミステリーをご紹介します!
親友同士の二人の女は、旦那を「排除」することに……
デパートの外商部で、富裕層の使い走りのような仕事をしながら、憂鬱な日々を送るOLの「直美」。夫のひどい暴力に耐えながら、静かに息をひそめるように暮らす専業主婦の「加奈子」。この物語は、学生時代からの親友である、30歳を目前にしたナオミとカナコが、受け入れがたい現実に追いつめられ、カナコの旦那を「排除」することを企むのですが……!? というお話です。
仕事で出会った中国人をヒントに、大胆すぎる完全犯罪を計画したのは、父親が暴力を振るう人間だったこともあり、暴力が決して許せない、正義感の強い「ナオミ」です。
また旦那にDVを受けていた「カナコ」も、あっさりと旦那殺害計画に同意し、二人で前だけを向いて、平穏な生活を取り戻そうと行動を起こします……!
いつのまにかあなたも共犯者に!? 手に汗握る、ドキドキのストーリー!
この物語は、「ナオミの章」と「カナコの章」の二部構成になっています。前半の「ナオミの章」では、大きな幸運も作用し、怖いくらいに計画が上手く運んでいるように思えるのですが、後半の「カナコの章」では、鋭い勘を持つ人間も登場し、いくつもの計画の穴が浮き彫りになります……。
しかし、腹を決めた女はとても強い! アラサー女子二人は、どんなに追いつめられようとも、「絶対に捕まらない」と信じ続け、自分の信じる幸せの方向へ、ひたすら走りぬけるのです!
とんでもない事件を起こした二人ですが、ここまで徹底的にやられると、筆者もいつの間にか彼女たちの味方になり、手に汗握りながら一緒にハラハラしてしまいました。
ドラマ化も決定した『ナオミとカナコ』。まだ4月ではありますが、「今年ナンバー1の面白さでは!?」と感じるほどワクワクドキドキしたミステリーでした。
ぜひ、読んでみて下さいね!