新しい一歩を踏み出す「春」に、本が味方してくれるかも? 心温まる『本をめぐる物語 一冊の扉』がおススメ!

2015.03.31

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一冊の本が、人生を支えてくれることがあります。私事で恐縮ですが、筆者は学生時代友達がいなかったため、いつも教室の片隅でライトノベルや漫画を読んでいました。お話の中で、不思議な特殊能力を使って大活躍するキャラクターの存在に、あの頃ずいぶん救われたことを今でもよく覚えています。
今回ご紹介したい本は、『本をめぐる物語 一冊の扉』(ダ・ヴィンチ編集部 編/角川文庫)という、人と本との優しくて温かな物語です。人気作家たちが紡ぐ8つの「本の物語」は、この春、新しい一歩を踏み出すあなたの大きな力になってくれるかもしれません。
それでは、懐かしさと温かさと、爽やかな読後感が堪能できる、最高の本と人との物語を、少しだけご紹介いたします。


『本をめぐる物語 一冊の扉』(ダ・ヴィンチ編集部 編/角川文庫)

この本に出てくる主人公は、女子高生やゆとり世代の女子社員、認知症の父と同居を始めたばかりのアラフォー女性であったり……とさまざまです。
それぞれの人生の、さまざまな時期に「本」との強い関わりがあるのですが、特に印象的だったお話は、中田永一さんによる『メアリー・スーを殺して』という物語でした。

メアリー・スーとは一体だれ?

”メアリー・スーを殺すに至った動機と、その後の数年間について書こうとおもう。”
この物語は、何やらこんな物騒な一文で始まります……!
主人公は、好きなキャラクターの二次創作小説に没頭しているときだけ、自由を感じられるという、引っ込み思案で大福饅頭のような体つきをした女子高生です。彼女はアニメや漫画の研究部で活動しており、毎月発行している小冊子で、二次創作小説を書いており、好評を得ています。
ところがある日、ある男子生徒に、「きみの小説、メアリー・スーが出てくるよね。そいつをどうにかしてくれないと、正直、きもちわるいんだよな」……と、言われてしまいます。
ですが、彼女の小説には、「メアリー・スー」という人物は登場しません。
メアリー・スーとは一体だれなのか? また、彼女は彼の言葉でどう変わっていくのかを注目しながら読んでみると、学生のときに漫画やアニメが大好きで、それで何とか生き伸びてきた! という経験がある方なら、激しく共感できるはずです!

本は、自分以外の誰かがいる外へと、新しい一歩を踏み出す力をくれることがあります。世界中どこにいても読めるし、良き相棒にもなってくれます。この本も、この春、新たな一歩を踏み出すあなたを、優しく勇気付けてくれるはず。 良かったら読んでみてくださいね。

2015.03.31

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記事を書いたのはこの人

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Written by さゆ

87年生まれのフリーライター。 本とワンコとカフェが大好きです。 いつでもアワアワしています。 ツイッター:@sayulog  写真撮影ご協力:青山エリュシオンハウス 撮影者:福谷 真理子