この世にヒーローはいなくても、楽しいことはたくさんある! 小さな奇跡がたくさん起きる物語『アイネクライネナハトムジーク』がワクワクする!

2014.12.02

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皆さんは、この世に「ヒーロー」はいると思いますか? 泣きたい時や辛い時にスッと手を差し伸べて、助けてくれる人がいれば素敵だなと思いますが、現実はなかなかそういう存在の人は現れないですよね。ですが、何気ない日常の中にも、嬉しくて、心がワクワクする出来事は確かにたくさん起こります。ちゃんと目を向けないと、なかなか気がつくことは難しいですが……。
今回ご紹介したい本は『アイネクライネナハトムジーク』という、ごく普通の人たちが巻き起こす、小さくて優しい奇跡がたくさん描かれたお話です。皆を一瞬で救うことができるヒーローは登場しませんが、平凡な日常に起きる、ワクワクする瞬間がたくさん描かれていて、読んでいて思わず笑顔になってしまいます!
それでは少しだけ、中身をご紹介します。

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『アイネクライネナハトムジーク』(伊坂幸太郎/幻冬舎)

このお話に登場するのは、奥さんに愛想をつかされたサラリーマンや、他力本願で恋をしようとする青年、そして元いじめっこに復讐をする思いもよらないチャンスに恵まれ、悩むOL……など、ごく普通の人々です。
6つの短編で構成されているのですが、6つのお話が時空を越えて、少しずつ繋がりを持って行き「まさかあの人とこの人が出会うなんて……!?」と、驚くようなサプライズが本文にしかけられています! 例えばボクシングのヘビー級の世界チャンピオンと、急にちょっとした接点ができて、人生が変わる女性や、なるほど! と思わせられるようなウソをついてくれた人のおかげで、ピンチを切り抜ける少女のお話は、思わずにんまりしてしまいました。読んでいて「そうそう、私たちの人生って、こんな優しい奇跡は、本当にたくさん起きているよね」と思わずうなずいてしまう瞬間が描かれています。

明日はきっと、私に幸せがやって来るかもしれない!

一見、とても地味なお話なのに、この物語はまるでミステリーのように、小説中に伏線が張られています。読み終わった後は、無事にトリックが解けたような感嘆のため息と同時に、何でもない日常が、とても愛おしいような気持ちになりました。
私たちの人生は、いつもどこか情けなくて、悲しいこともたくさん起こるけれど、でもそれだけでは決してないから、明日もまた、頑張って生きよう! と感じられるお話です。ついでに読み終わったら、モーツァルトのセレナーデ「アイネクライネナハトムジーク」を聴くと、さらに気分が爽快になるはずです!

2014.12.02

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記事を書いたのはこの人

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Written by さゆ

87年生まれのフリーライター。 本とワンコとカフェが大好きです。 いつでもアワアワしています。 ツイッター:@sayulog  写真撮影ご協力:青山エリュシオンハウス 撮影者:福谷 真理子