究極の愛ってなんだろう? 読み始めたらとまらなくなる、切ない純愛ミステリー『Nのために』が泣ける!
皆さんは「究極の愛」とは何か、考えたことはありますか?
愛にもきっと、さまざまな形があるとは思いますが、筆者は「究極の愛」というのは、見返りを求めず、決して見せかけだけではなく、相手のことを心から想える愛のことかな……と思いました。お互いがそんなふうにずっと想い合えれば素敵ですよね。
さて、今回ご紹介したい本は、そんな「究極の愛」を描いた、TBS系で10月よりドラマも放送されている『Nのために』という小説です。あの“イヤミス”の女王と言われた湊かなえさんが、今回は初の純愛ミステリーを書かれています! このお話は、主要な登場人物、男女6人、全員のイニシャルにNがついています。
それでは、何が真実なのか最後までわからない、切ない想いに思わず泣けてくる、最強の純愛ミステリーのストーリーを、少しだけご紹介したいと思います。
『Nのために』(湊かなえ/双葉文庫)
この物語は、超高層マンション「スカイローズガーデン」の一室で、野口貴弘とその妻・奈央子の変死体が発見されるところから始まります。そこに居合わせたのは20代の男女4人。木造アパート「野バラ荘」で暮らし、野口夫婦の招待客であった大学生の杉下希美、同じく野バラ壮で暮らす、小説家志望の西崎、学生時代に野バラ荘に住んでいた安藤望、そしてフレンチレストランでアルバイトをしている、杉下とは同郷の成瀬です。
事件は、小説家志望の西崎が「自分は野口奈央子と不倫していて、奈央子を刺した貴弘を、思わず撲殺してしまった」と自白し、犯人として逮捕されたことにより、早々に解決したかのように思われます。
しかし、第二章以降で男女4人がそれぞれ、事件の10年後、悲劇が起こった経緯と、事件の際に自分が何をしていたかを独白するシーンが続き、状況は一変するのです!
事件の裏に隠された「究極の愛」とは?
ある人物はこんなことを言っていました。「究極の愛とは、罪の共有。共有ってのは、誰にも知られずに、相手の罪を自分が半分引き受けること」だと……。
それぞれの独白により、徐々に事件の背景や、登場人物の過去、Nの正体が明らかになっていくのですが、それは時にとても哀しいものでした。
大切な人のために、何年間も真実を胸に秘め続け、静かで深い思いを胸に抱き続けた登場人物たちに、ラストは涙が止まらなくなってしまいます。切なすぎる恋模様が描かれたミステリーです。アッと驚く真実と、究極の愛を堪能できるかと思います! 良かったらぜひ、ドラマと共に小説も読んでみてくださいね。
▽ 金曜ドラマ:Nのために