「花子とアン」好き必見! 激動の時代に夢と希望を持ち続けて生きた村岡花子さんの一生がすごい!
9月27日に最終回を迎えるNHK連続テレビ小説「花子とアン」ですが、皆さんはご覧になっていますか?
「花子とアン」は『赤毛のアン』をはじめ、多くの英米文学を名翻訳で届けた村岡花子さんの半生を描いたドラマです。ドラマの原案は、村岡花子さんの孫に当たる村岡恵理さんが執筆された評伝『アンのゆりかご 村岡花子の生涯』(新潮文庫/平成23年)。
村岡花子さんは関東大震災、太平洋戦争と続いた激動の時代を生きた女性です。
筆者は幼い頃『赤毛のアン』が大好きだったので、始めは何気ない気持ちでドラマを見ていたのですが、最近では食い入るように見ています。村岡花子さんの生きていた時代や証は決して「昔話」ではなく、今の時代に繋がる面が多くあることに気付いたからです。
今回は、ドラマの原案となった『アンのゆりかご 村岡花子の生涯』という本を参考に、「花子とアン」の魅力に少しだけ迫りたいと思います。
明日への希望がわく物語を届けたい
村岡花子さんは静岡生まれの茶商であるお父さんが、山梨の甲府に移って生まれた娘です。熱心なクリスチャンで新しい文化・思想に触れていたお父さんは、花子さんの利発さを喜び、貧しい生活の中からミッション・スクールへと送り出します。やがて花子さんは英米文学の楽しさに目覚め、翻訳家への道を歩みます。
『赤毛のアン』は村岡さんが昭和14年、戦争へと向かう不穏な時勢に、カナダ人宣教師から友情の証として贈られたルーシー・モード・モンゴメリ著の『アン・オブ・グリン・ゲイブルズ』という本を翻訳したものです。空襲が続く戦火の中、命がけで原書と原稿用紙を守り「多くの人に明日への希望がわく物語を届けたい」と、翻訳を続けました。それが出版されたのは戦後の昭和27年のこと。
村岡花子さんはアンシリーズだけで10冊翻訳されていますが、他にもポーター『少女パレアナ』、バーネット夫人『秘密の花園』、ウェブスター『あしながおじさん』など、数々の少女小説の名作を私たちに届けてくれました。
ドラマ「花子とアン」や、その原案となった『アンのゆりかご』では、明治から昭和への歴史を、たくさんの女性たちの群像とともに知ることができ、私たちが今当たり前に享受していること……例えば、海外の翻訳された良書が読めることや、選挙に女性が参加できること、平和な環境でさえも、多くの人たちの血のにじむような努力の末、与えられているということを教えてくれます。
よかったらドラマと共にぜひ、心温まる評伝も読んでみて下さいね。