~漫画家東村アキコ先生の自伝『かくかくしかじか』がすごすぎる!~
育児エッセイ漫画『ママはテンパリスト』や2012年にドラマ化もされた『主に泣いてます』、今年映画公開が決定した『海月姫』など、数々の大ヒット作を生み出した、漫画家の東村アキコさんをご存知ですか?
若い女性を中心に絶大な支持を集める、今とても勢いのある漫画家さんです。
ギャグの要素も強いのですが、読んでいて思わずハッとさせられる話も多く、あっという間に感情移入させられる、魅力的な漫画を多く描かれています。男性にも女性にもおススメです!
『かくかくしかじか』(東村アキコ/集英社)
今回ご紹介したいのは、そんな東村アキコさんの自伝である『かくかくしかじか』(東村アキコ/集英社)という漫画です。少女漫画家を目指して、美大受験のため教室に通い、そして有名漫画家になるまでのストーリーが描かれています。
爆笑してしまうくらいパワフルで面白いのに、時にとても切ない気分にさせられ、我が身を振り返って情けなくなったり、感傷に浸りたくなる不思議な内容でもあります。
「夢を叶える」って、全然きれいごとじゃないですよね。
地を這って努力する姿って、むしろとっても格好悪い。でも描いて描いて描きまくって努力された東村アキコさんの漫画を読むと、頑張ろう! と思えます。
それでは少しだけ、中身をご紹介致します。
大切な恩師との出会い
本書は「自分は絵がうまい」とうぬぼれていた林明子(高3)が、美大受験のため、竹刀を持った絵画教師・日高健三(ひだかけんぞう)先生と出会うことから始まります。
竹刀は振り回すわ、絵画教室に絵を習いに来るおじいちゃんにずっとティッシュの箱を描かせるわ、女の子をチンパンジー扱いするわで散々なのですが、誰よりも厳しいけれど、誰よりも生徒のことを想う様子が至るところで感じられる先生でもありました。
日高先生に散々しごかれて、美大受験を乗り切り、しかし大学で絵を描く気力を失くし、不本意ながらテレフォンオペレーターの仕事を始めてからも、明子(東村アキコさん)はずっと日高先生の元へ通い続けていました。
時々、今の有名漫画家である東村アキコさんが現れて、過去を回想しているのですが、何だかとても切ないモノローグであるのが気になります。
「夢を叶える」ってたぶん、思い続けたり、願い続けるだけじゃ絶対ダメなんですよね。
しかも、恐ろしいことに死ぬほど努力しても、夢が叶う保証なんてどこにもなくて、とにかく脇目も振らずに前を向いて、ひたすら目標に向かって目の前のことをこなすしか、方法はないような気がします。夢を叶えたい女子必見の、泣いて笑って切なくなるおススメの自伝漫画です。良かったら、読んでみて下さいね。