「レファレンス・サービス」を知っていますか?~図書館で働く新米司書の物語~ <『夜明けの図書館』(埜納タオ/双葉社)より>

2014.05.23

  • Twitterでシェア
  • f Facebookでシェア
  • B!はてなブックマーク

Googirl読者の皆様は「レファレンス・サービス」という言葉をご存知ですか?
これは図書館で「職員が、利用者の調べものをサポートする」ことを言います。利用者の「知りたいこと」を調査・お手伝いする仕事で、図書館において重要な業務とされています。筆者はライターになる前は、司書の資格を生かして、地元の図書館で臨時職員をしていたのですが、毎日さまざまなレファレンスを受けました。おススメした本を、利用者の方が「面白かったよ」と言って返却に来て下さるのは、とても嬉しかったです。「本離れ」が叫ばれる今の世の中ですが、本には人の心に寄り添う不思議な魅力があります。
今回はそんな「本」をたくさん所蔵している「図書館」を舞台にした、素敵な漫画をご紹介したいと思います。


『夜明けの図書館』<1~2巻>(埜納タオ/双葉社)

本書の主人公は市立図書館で働く新米司書「ひなこ」です。3年もの就職浪人の末、高倍率の中、奇跡的に図書館に採用になり、本と人を繋げる仕事=司書としてデビューを果たします。
司書の仕事って、レファレンス以外にも貸出や返却、書架整理(本を元の位置に戻したり、書棚を整えたりする)や行事の準備、本の修理に新聞や雑誌の入れ替えなど、さまざまな仕事があるのですが、「ひなこ」はそんな忙しい業務の中でも、レファレンスの一つ一つに真摯に向き合っている姿が印象的でした。
タイトルや作者のわからない、利用者の方の思い出の絵本を探し出したり、「この曲はなんていう唄かわかるかしら?」と歌詞の一部を歌うおばあさんの疑問を解き明かしたりと、難易度の高い、歌モノのレファレンスにも真摯に対応していました。

仕事の厳しさや、また楽しさも感じることができる

難問・奇問のレファレンスの裏に隠された真実は、時には利用者の方の人生を揺るがすものや、また、人生の新たな局面へと進むために、勇気を与えてくれるものもありました。
レファレンスは、職員の側も、調べながら気づかされることが本当にたくさんあって、発見の連続だったりするのですが、どんな内容であれ真摯に受け止めて、一緒に学びながら成長していく主人公「ひなこ」の様子から、仕事の厳しさや、また楽しさも感じることができるのではないかな、と思います。

本はいつだって「知る歓び」を教えてくれます。誰かの気持ちを想像することの大切さを教えてくれることもあれば、困ったとき、とても意外な方向から助け船を出してくれることもあるのです。
皆さんも、よかったら是非図書館へと足へ運んでみて下さいね。書架を眺め歩くだけでも、意外な名作に出会えたりします!
探している本が見つからなかったり、わからないことがあったら是非「レファレンス・サービス」を利用してみて下さい。「ひなこ」のような優しい司書の方が、きっと親身になって相談に乗ってくれるはずです。

2014.05.23

  • Twitterでシェア
  • f Facebookでシェア
  • B!はてなブックマーク

記事を書いたのはこの人

Avatar photo

Written by さゆ

87年生まれのフリーライター。 本とワンコとカフェが大好きです。 いつでもアワアワしています。 ツイッター:@sayulog  写真撮影ご協力:青山エリュシオンハウス 撮影者:福谷 真理子