10年後の私から手紙が届いた。やり直したい過去はありますか? ~『orange』(高野苺/双葉社)より~

2014.05.25

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もし、過去の自分に手紙が送れるとして、そこに何かお願い事が書けるとするならば、あなたは何年前の自分に、どんな言葉を送りますか?
筆者ならば、4年前、22歳の自分に手紙を送りたいです。「もっとちゃんと勉強しなさい!」と、叱咤激励もしたいけれど、筆圧を濃くして赤線引いて、蛍光ペンでグルグルに囲んで、一番に忠告したいことは「22歳の秋に声をかけてくる男性とは関わらないように。その恋は、めちゃくちゃ尽くす恋です。泣きますよ!」と伝えたいです。
ですが私は今も昔も変わらず、とってもおバカなので、きっとどんな手紙を送ったところで意味はなく、たくさん後悔する道を選んでしまうのだろうなあ、とは思うのですが。


『orange』<1~2巻(※以下続刊)>(高野苺/双葉社)

今回ご紹介したい漫画は『orange』<1~2巻(※以下続刊)>(高野苺/双葉社)という長野県松本市を舞台にした、眩しいほどの青春SFラブストーリーです。
高校2年生の春、主人公の「菜穂」の元に、ある日突然10年後の自分から一通の手紙が届く所から始まります。そこには、「自分と同じ後悔はしないでほしい。今日クラスに来る転入生の“翔”(かける)という男の子を救ってほしい」と書かれています。また、これから菜穂に起こる出来事と、その時に取ってほしい行動も書かれていて、そしてそれらは次々と現実になっていきます。
時々、10年後の26歳の菜穂やその友達も登場し、過去と未来が交錯する展開も面白く、目が離せません。
絵もとても綺麗で、舞台にも臨場感があり、また男の子は格好良く、女の子はとても可愛らしく描かれているので、少女漫画としてもSFとしても楽しめるのではないかな、と思います。
また同時収録されている「春色アストロノート」は「orange」とは打って変わって、ポップで明るい双子の物語なのですが、こちらも面白くておススメです!

10年後の自分のために、弱い自分を変えていく

私たちはたぶん、どう頑張っても過去は変えられないけれど、未来は今の選択一つで、変えられる可能性を持っています。
どの道を選んだところで、後悔が全くない人生なんて送れないけれど、その時々でベストな選択をしてきたと自分が思えるのであれば、そんな悪い人生にはならないはずです。
10年後の自分から送られてきた手紙をきっかけに、後悔のないように精一杯、大切な人たちと真正面から向き合って生きる菜穂を見て、そんなことを感じました。
菜穂たちは“翔”(かける)を救うため、どんな選択をしていくのか、これからも注目していきたいと思います!
良かったら是非、読んでみて下さいね。

2014.05.25

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記事を書いたのはこの人

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Written by さゆ

87年生まれのフリーライター。 本とワンコとカフェが大好きです。 いつでもアワアワしています。 ツイッター:@sayulog  写真撮影ご協力:青山エリュシオンハウス 撮影者:福谷 真理子