イケメンマーケティング男子Vol.4 原田和英さん
「nanapiでないと提供できない記事を発信し続けたい」
20~30代のマーケティング男子を取り上げる本連載の第4回目は、ハウツーサイト「nanapi」などの運営を手がける株式会社nanapiに勤める原田和英さんが登場。nanapiをより良く成長させていくために、マーケターとして企画や調査、分析を担当しています。そんな原田さんのお仕事について聞いてきました。
創業当初からのnanapiボードが迎えてくれるオフィス玄関にて
nanapiの強みを導き出してビジネスにつなげる
まずは、原田さんのこれまでの経歴を教えてください。
大学在学中にWebマーケティングの会社を立ち上げた後、アクセンチュアで戦略コンサルタントとして働いていました。ITベンチャー、起業を経てグリーで国際展開に関する業務に従事し、2012年11月からnanapiにジョインしました。
nanapiに入社したきっかけは何でしたか。
nanapiのビジョンや展開している事業に興味がありましたし、社長の古川健介(けんすう)と大学時代から友人だったこともあり、古川は心から信頼できる相手なので、一緒に働きたいなと思ったんです。
入社初期の頃、どのようなことを担当していましたか。
主に事業企画です。nanapiのビジョンや強み、市場の動きなどから戦略などを整理していく仕事です。入社後の最初の業務としては、nanapiに適したビジネスモデルを検討するために、nanapiと関連性の高いサービスのビジネスモデルや強みを国内外問わず200以上調査しました。nanapiの強みと他社の強みをそれぞれ丁寧に洗い出すことで、見えてくることがあるんです。
調査を重ねるうちに見えてきたnanapiの強みはどういったことでしょうか。
1つは2000万人という大きなユーザリーチです。もう1つはユーザーさんが明確な課題を抱えてnanapiを訪れてくれることです。たとえば、フェイスブックの退会方法やニンジンのキレイな切り方を知りたい、といった課題を持った方が訪れてくれるというのはメディアとしての個性かと思います。
昨年、無料スマホアプリの「うちトレ」に続いて、有料の「ヒキシメ」が登場したときに、これがひとつのビジネスモデルだと感じた覚えがあります。
当時、海外のサービスを研究していると、向こうでは動画コンテンツが多数立ち上がっていました。そこで弊社でも実験的に「ヒキシメ」のような動画コンテンツを有料で展開しましたが、想定よりもダウンロード数は伸びなかったですね。当時、メディアのユーザ向けの課金方法は大きく分けて、ツールに課金するか、コンテンツに課金するかの2つでした。海外ではハウツーの動画に課金するタイプのものが登場してきていたのですが、日本ではまだこれからという感じという印象です。ツールでの課金としては、海外ではユーザーさんからの質問に対して、プロフェッショナルが有料で回答するというビジネスがあります。nanapiでも寄せられた質問に対し、人力で答える取り組みをテストしてみましたが、当時は問い合わせ数は限定的でした。しかしながら、ユーザの課題に個別で回答するということは大きな価値なので、アンサー(編集注:nanapiが公開したQ&Aアプリ)を含め、今後もこの辺りの領域は検討していきたいです。
価値が長持ちする記事を蓄積させたい
となると、企業さまとのタイアップ記事を拝見したことがありますが、収益モデルは広告がメインなのでしょうか。
タイアップ広告の問い合わせも多く頂きますが、現在の売上の大半は自動広告です。タイアップ記事に関しては、工数がかかってしまう分、サービス運営やコンテンツ作成にかかるリソースがどうしても減ってしまい、そのぶんユーザーさんに提供できる価値が少なくなるため、慎重に行っています。しかしながら、企業さまの求める点とnanapiが提供できる価値が上手くフィットする場合はもちろんご一緒させていただきます。たとえば、昨年は、企業さまがもっている専門知識を元にnanapiでハウツー記事を作成するという試みを行いました。それによって専門性の高い記事を生み出し、ユーザーさんに価値を提供することができました。そして、その記事を通じて企業さまへの価値も返せるという良い関係性を築くことができたんです。
積極的に広告を出そうとはしないという姿勢はWebメディアとしては珍しいですよね。
nanapiは完全にユーザー志向で、お金儲けを後回しにしている企業だと思っています。ユーザーさんの困っていることを解決するコンテンツを出したい――その思いが強いんです。また、自動広告をメインにしている理由の1つに、nanapiが自動広告との親和性が高いというのもあります。課題を持ったユーザーさんが訪問してくれるので、課題にマッチした自動広告のクリック率は高くなります。結果的にPV単価が他のメディアさんよりも高めになっている、という印象ですね。
nanapiの編集方針について教えてください。
サービス開始当初からの方針としては、ハウツーをデータベースと捉え、生活に必要なハウツーはひと通り揃えようというものでした。昨年には掲載中の記事が10万本を超え、そのステージはクリアしたと感じています。それからは、広さよりも、情報の濃さを重視して情報を提供しています。また、時事ネタはあまり扱わないようにしています。たとえば、ニュース要素の強い記事だと、1ヶ月後にはコンテンツとしての価値を失います。それよりも長い間、ハウツーとして読まれる記事、検索される記事、nanapiでしか作れない記事の蓄積を目指しています。たとえば今年2月の都知事選に関しても、ニュース形式にするのではなく「意外とかんたん!東京都知事に立候補する方法」のような、法律が変わらない限り数年間は役立つ記事を作るなど工夫しています。
ユーザーさんにとって価値ある記事を作り出すための、社内の仕組みを教えてください。
週1で編集会議を開催して企画を出し合っていますね。それだけではなくチャット上でアイデアが常に出されています。また、現在nanapiには10万を超える記事が掲載されているので、どの記事がよく読まれているか、SNS上で拡散されているか、検索エンジンに引っかかりやすいかなどのデータやノウハウが社内に蓄積していることも強みです。データ分析などで研究した成功要因をコンテンツ制作に活かしています。
原田さんのような役員も編集会議に参加し、役職問わず活発な議論が行われる
成長意欲が高く、できることを増やしたい仲間を募集中
現在、nanapiさんでは仲間を募集していますよね。どんな人と一緒に働きたいですか。
仲間を応援するカルチャーがあることです。「やりたい!」と手を上げた人にチャンスを与える土壌が整っていますし、新たに加わったばかりの人でも、自由に意見を言いやすい雰囲気もあります。社長の古川の人柄に惹かれて入社を希望する方も多いです。彼はお金儲けよりもユーザーさんのことを考えるタイプ経営者で、Webサービスが本当に好きなのです。先日も、nanapiのモバイルでの記事を複数ページで見せていたのですが、それを減らすという決断をしたエピソードがあります。ページ数を減らすと会社にとっては広告の売上源に結びつきますが、あくまでもユーザーさんの利便性、使いやすさを優先した結果です。nanapiで働くとユーザーさんの方向を向いたサービス運営スキルが手に入るはずです。Webでおもしろい取り組みをしたい方はぜひご応募をお待ちしています。
最後に今後の展開を教えてください。
nanapiではアメリカを中心に、サービスのグローバル展開を目指し、現在準備を進めています。日本発でグローバルで成功しているWebメディアはなかなかありませんが、先駆けとなるよう走り続けていきたいですね。
▽ 原田 和英(はらだ かずひで)
80年生まれのマーケティング男子。株式会社nanapiの執行役員。休日はジムやランニングで身体を動かすことが多い。DVDや雑誌、テレビなどから広く情報収集も。
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