“女性鍛冶屋” 岡本友紀さんの、柔らかでしなやかな鉄の世界。
皆さんは「鍛冶屋」さんに会ったことがありますか?私にとっては、長い間、「ヨーロッパのおとぎ話の中に出てくる職業」でした。それが、ある女性との出会いで、一気に身近なものに。
10年の修業を経て鍛冶屋に
広島を拠点に、鍛冶屋として活動する、la forgerone(ラ・フォルジュロン)の岡本友紀(おかもと・ゆき)さんです。会社員時代、旅行でおとずれたパリで鉄製品の美しさに魅了された彼女は、広島のカフェで出合った鉄製シャンデリアに一目ぼれ。鍛冶職人に弟子入りし、10年の修業を経て鍛冶屋となりました。今は、オーダーメイドで、照明などのインテリアから大型のオブジェまで、様々な作品を手掛けています。
「粒子」という名前のシャンデリア
「軽やかで、しなやかな、鉄」
彼女の作品に共通するテーマは、「軽やかで、しなやかな、鉄」。創作に力と技術が求められる鉄を丹念に成形し、羽のような軽さと植物のようなしなやかさを生み出すことを意識しているそうです。鉄の造形に光が加わることによって生まれる、幻想的な影の美しさにもこだわりがあり、シャンデリアをはじめとする照明の作品は、女性を中心に特に人気があるそうです。
渋谷のカフェで作品を楽しめます
広島のアトリエは一般公開されていないので、実際に彼女の作品を見られるのは全国各地での展示会が中心ですが、今年5月からは、渋谷のカフェでも楽しめるようになりました。
24/7 coffee & roaster(トーキョーワンダーサイト内)には、ひとつひとつ丹念な手仕事で生み出された岡本さんの椅子が並んでいます。ほっそりとした脚なのに、座ると安心して身体を預けられる、ちょっぴり不思議な感覚の椅子です。カフェの美味しいコーヒーやパンケーキも魅力的ですが、お立ち寄りの際は、ぜひ彼女の作品もチェックしてみてくださいね。
▽ la forgerone(ラ・フォルジュロン)
フランス語で鍛冶屋を意味する“le forgeron(ル・フォルジュロン)”の、はじまりと終わりを女性名詞風にアレンジした造語。男性のイメージが強い鍛冶の仕事を、女性らしい柔らかさで包み込みたいという思いを込めた。