ワンクール恋愛女の結婚道Vol.1

恋愛がワンクール(3か月)しか続いたことがない、恋愛コンプレックスの塊だった筆者。26歳のときに出会った男性と1年半の交際を経て結婚しました。結婚・恋愛に悩む方のサプリメントになるコラムをお届けします。


******

2013年11月に入籍し、今月で結婚生活も7か月目になりました。まさか結婚する(できる)とは思っていなかったので、当時は自分のことながらも驚いていた記憶があります。私は二十歳で初めての彼ができたものの、プラトニックな関係を保ったまま、あえなく終了。その後「この人を恋人のひとりとして数えてよいのか?」と疑問に思っていたところ、相手は私を「初めての彼女」としてカウントしていたそうで、私も彼を「初めての彼」としてカウントすることにしました。

大学3年生、21歳になってようやく大人の恋愛を初体験。平均よりもかなり遅い時期からのスタートで、過剰な恋愛コンプレックスを抱えていました。さらに、学生時代の「モテない期」で歪んだ精神が影響したせいか(?)、大人になってからもきちんと恋愛できず、ひとつの恋愛はもって3か月。とてつもなく恋愛偏差値が低く、「恋愛不適合者なんじゃ…?」と枕を濡らしたことが何度もあります。

******

そんな私が26歳を迎える少し前。久しぶりにできた同い年の彼に、またもや3か月(!)で振られて、再び独りぼっちになってしまった……と孤独を感じたり、もう恋愛なんて一生無理だ……と諦めの境地に至ったりと、とにかく絶望していた時期がありました。あのときの自分をわかりやすく形容するなら「ボロ雑巾」。ちょうど当時は会社を辞めて、ライターとして独立したばかりの頃で、そんなに仕事もなかったし、自宅で過ごす日も多かったりと、より一層孤独感に苛まれる時期だったのです。夜ひとりで部屋にいると、自然と涙が止まらなくなるといった危険な症状もありました。

でも、仕事は頑張ろう。仕事だけはちゃんとやろう。仕事は裏切らない。若干切なく感じてしまいますが、仕事をする間は、頭の中でそう唱えていました。仕事が増えて、稼げるようになれば、ひとりでも生きていける――男の人がいなくても大丈夫。そう気持ちを切り替えたのです。そして、ある日の土曜日に取材へ向かいました。取材相手は私と同じ業界にいる男性で、キャリアの長い大先輩。最初は少し緊張しましたが、気さくに応じてくれる彼のおかげで、取材は楽しく進んでいきました。傷だらけだった心が、久しぶりにほぐれた瞬間。人と心から笑い合えたのも、数週間ぶりのことだったと思います。

「彼氏とか、いるんだよね? 池田さんのブログを見たんだけど」

ふと、取材中に雑談が始まりました。すでに別れた相手と付き合い始めたきっかけやそのときの気持ちなどを、恥ずかしげもなく自分のブログに書き記していたところ、それを読まれていたとは……。すっかり恥ずかしくなっただけではなく、再び傷がえぐられそうな感覚があったので、「あぁ、いや、あの人とはもう別れたんです」と消え入りそうな声で伝えました。そのときのやりとりが、今につながるなんて、当時は思いもしませんでした。でも、目の前の相手に対し、安心感や好意を抱いていたのは事実です。初対面なのに、それを気にせずにいられる喜び。そして安らぎ。

ほどなくして機会があり、その彼と2回、3回と会い、3回目で告白されて、付き合うことになりました。その後、1年半の間、彼氏と彼女の関係で過ごし、11月から夫婦になったのです。ある意味で、彼は私が26年間(当時)の人生の中で、初めてきちんと恋愛できた相手でした。

******

今までは関係が継続しても3か月。ドラマでいうところのワンクールです。もはやトラウマになっているので「また3か月ももたなかったらどうしよう」と当然不安はありました。でも、そんな負の感情が消えた1番のきっかけは、彼の横でぐうぐうと熟睡できたことでした。その瞬間、「今までの恋愛とは違う!」と実感したのです。過去に付き合ったり、何らかの関係を持っていた男性とは、隣で並んで寝ようとしても、なぜか眠れませんでした。夜中に私ひとりだけ目が冴えた状態で、天井を見つめながら、ようやく朝方になって仮眠程度の睡眠がとれればいい方。ひどいときには一睡もできないことすらありました。それが、彼と枕を並べて寝るときには、長くかかったとしても10分程度で眠りにつけたのでした。何この安心感……という驚きよりも、可笑しくなってしまいました。一応フォローしておくと、もちろん恋愛初期にはときめきもありました。ただ、それ以上に安らぎのほうが大きかったのです。これは本物だと思っているうちに、魔の3か月は過ぎ、あっという間に半年が過ぎ、1年が経ち、結婚にいたったのです。

入籍当日、記念に出かけた京都で。

結婚にいたるまで、若干のいざこざや揉め事はありましたが、それはまたの機会にお話することにして……。今回お伝えしたかったのは、私のような恋愛下手で、「ワンクール恋愛」しかしたことがないような人間でも、大切な相手と結婚できたということです。だから、私の経験を通して、恋愛や結婚に悩んでいる方を少しでも勇気づけられればいいなと思っています。

******

結婚はゴールではありません。むしろ始まりのようなもの。すてきなことが多いですが、そうではないこともあります。そんな結婚のリアルを毎月1回綴っていければと思いますので、どうぞお付き合いくださいませ。

2014.06.21

  • Twitterでシェア
  • f Facebookでシェア
  • B!はてなブックマーク

記事を書いたのはこの人

Avatar photo

Written by 池田 園子(いけだ そのこ)

岡山県出身。中央大学法学部卒業後、楽天、リアルワールドを経てフリー編集者/ライターに。関心のあるテーマは女性の生き方や働き方、性、日本の家族制度など。結婚・離婚を一度経験。11月14日に『はたらく人の結婚しない生き方』を発売。 写真撮影ご協力:青山エリュシオンハウス 撮影者:福谷 真理子