桃山商事・清田隆之+池田園子の恋バナサロン Vol.1 「恋愛の仕方を忘れたときはどうすればいいんだろう」

恋バナ収集ユニット・桃山商事の清田隆之氏とライター・池田園子が、毎回ひとつのお題を掘り下げる新企画がスタートしました。過去に400人以上の恋愛相談を受けてきた清田氏が、女子の悩みにやさしく(?)寄り添ってくれます。初回テーマは「恋の仕方を忘れたときの対処法」をお届け。

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恋愛を食べ物にたとえるのもどうなんだって話だけど、セックスってカルビや大トロみたいな貴重な部分だと思う。そして悪い輩は、そこだけを食べようとする。ジャンクな恋愛には、そういう搾取の危険性がつきまとうんだよね…。(清田)

男友達と恋愛に発展する可能性はありますよね。私も過去にありました。もちろん『絶対にこいつは友達止まり!』みたいな人もいるけど(笑)。(池田)

桃山商事って?

池田:実はこれ念願の恋愛に関する新連載なんです。毎月1回集まって女子トーク(?)したものを対談としてまとめる企画ということもあって、女心も男心もわかってらっしゃる清田さんを指名させていただきました。どうもありがとうございます。

清田:「女心も男心もわかってらっしゃる」だなんて…恐ろしい紹介の仕方ですね。「お前は誰やねん」感がハンパなくて大変恐縮ですが、どうぞよろしくお願いします…。

池田:本題に入る前に、清田さんといえば「恋バナ収集男子」のイメージが強いですよね。何がきっかけでそんな存在になったのかを過去に遡って聞いておきたいです。

恋バナ収集ユニット・桃山商事の清田隆之氏

清田桃山商事としての活動は、かれこれ12年目になります。

池田:12年って長い。学生時代からということですよね。

清田:そうなんですよ。そもそものきっかけは、僕が中高男子校に通ってたことがあると思います。そんな僕が大学ではフランス語を学ぶことになり…。

池田:周りは女子だらけでしょうね(笑)。

清田:フランス語だからね…。しばらくするとグループができて、恋バナで盛り上がるようになって。そこで女子たちが交わす恋バナや彼氏の愚痴に対し、「どう思う?」って数少ない男子として意見を求められるわけですよ。でも、6年間もオトコくさい環境にいたもので、まったく恋愛のことがわからず…。困ったなと思って、仲間を呼びました。それから生まれたのが、「女子の恋バナを複数の男でひたすら聞く」というスタイルです。3人いればプレッシャーは3分割されるかなと思って始めた、かなり姑息な活動なんですが(笑)。

池田:そんな裏ワザがあるなんて(笑)。でも、男子3人分の意見が聞けちゃうって、相談主的にはラッキーかも。参考にしたい意見が1つはありそうですし。

清田:それが次第に口コミで広まって、なぜかいろんな女子から恋の相談が寄せられるようになったんですよ。といっても、遊園地に行ったり、山に登ったりしながらワイワイ恋バナをしてただけなんですが…。これを珍しがってくれた人がメディアで紹介してくれて、コラムを書くようになったり、ラジオに出演するようになったりと、徐々に活動の幅を広げていきました。サイトを作って相談窓口を設置したところ、まったく知らない人からも相談が来るようになりました。今は毎週のように女の人に会ってカフェや喫茶店で悩み相談を受けつつ、女子はこういうことに悩んでるのかぁ、と日々学んでいます。複数のオトコに女子ひとりで恋バナしてるという画は、傍から見ると怪しすぎると思うけど…。

池田:確かに(笑)。最近の女性の悩みのトレンドをつかんでらっしゃるということですよね。とても心強いです。というわけで、初回のテーマにいっちゃいましょうか。

「誰でもいいから誰かがいれば孤独が埋められる」みたいな単純な話じゃない

清田:事前にいただいたメールには「恋の仕方がわからない女子」っていうテーマがありましたね。

池田:そういう女子って結構いるんですよ。私も数ヶ月前に友人から相談を持ちかけられましたね。その子は学生時代から3年間付き合った彼と別れてから、仕事に夢中になっているうちに全然恋ができなくなったらしいんです。まさに「恋愛する方法がわからなくなった(笑)」と言ってましたね。あまり深刻な感じではなかったですが。

清田:あたりまえの話っぽくなっちゃうけど、結局は「自分がどうしたいか」なんだと思うんですよ。ちょっと寂しいときもあるけど、総合的には楽しい日々を過ごせているなと思えるなら、恋愛してなくても、とくに問題はないと思うわけで。

池田:自分がいまの暮らしに満足していたら、それはそれでいいじゃないってことですね。

清田:恋愛するのが好きでたまらないとか、セックスがない人生なんてイヤだとか、何歳までに子どもを産みたいとか、そういう「譲れないポイント」のようなものがもしあるなら、もちろん恋愛をしたほうがいいと思います。でも、漠然と「恋愛してないとダメなのかな…」みたいな不安を抱えて憂鬱になってる女子も、結構多いと思います。

池田:私の友人もそのタイプかと。残業を終えて深夜近くに一人暮らしの部屋に戻ると「あ、いま寂しいかも」って感じるみたいで。

清田:でも、よく考えてよ。たとえば、その部屋でゲームにハマってる小太りなオトコが待ってても、全然嬉しくないでしょ? ゲームばっかしてないでオマエ皿洗えよって感じでしょ(笑)?

池田:誰かがいれば解決するっていう単純な問題じゃないですね(笑)。

清田:自分が女子だったら、そいつの脱ぎっぱなしのシャツとか、小脇に抱えてるポテトチップスなんかに殺意をおぼえると思う…。

池田:ひとりのほうがマシです(笑)。

清田:人生って恋愛がすべてじゃないと思うんですよ。そもそも恋愛なんて、あまりにも偶然性に左右されるものでしょ? 無理やりしようと思ってもなかなかできないし、何か一発逆転のカードがあるわけでもない。なので、自分自身が楽しく暮らしているなかで、偶然出会った人とデートを重ねたりして、「あ、この人いいかも」とか思えたときにすればいいくらいのものだと思うんだけど…のんびりしすぎでしょうか(笑)。

池田:一番自然で上手くいくパターンですよね。でも、女性誌や女性メディアって「自分から行動しないと始まらない。まずは動け」的に煽ってますよね。それも一理ありますし、それを真に受けると独り身の女子は恋活せざるを得ないのかな…と思うわけで。

溜め息をついてしまうようなダメ恋愛は心とカラダを蝕む場合も

清田:それはあるよね…。ちょっと話は変わるけど、彼氏がいる女子は女子コミュニティの中で「勝ち」、彼氏がいない女子は「負け」みたいな扱われ方があったりするの?

池田:うーん。差別的なものはないと感じます。というよりも、ステータスが全然違う女子とはつるまなくなる、というのが正しいかも。たとえば、既婚女子と未婚彼ナシ女子が同じ女子会に参加するケースが、すくなくとも自分の周りではないんですよね。

清田:それは話が合わないから?

池田:はい。テーマが違うんです。たとえば、既婚女子と5~6年彼がいないような未婚女子とでは話が噛み合わないし、恋愛や結婚に対する意識や感覚も違ってくのかなと。極端な話、5人中4人が既婚あるいは結婚目前の彼アリ女子で、1人が5年以上独り身女子とかだと、その1人は話についていけないでしょうし、みんなも気を遣っちゃいます。

清田:そうなんだ…。では、独り身女子が恋愛をするにはどうすればいいんだろうね。う〜ん、恋愛ってカロリーも時間もコストもかかるから、やはりある程度の「余裕」は必要になってくると思う。話を聞いていて感じるのは、女子のほうがオトコよりも圧倒的に多忙だなということです。仕事もあるし、体調管理も大変だし、衣食住に対する意識も高いし、ダイエットやスキンケアなど外見のメンテナンスにもコストがかかる…。そういう日々に恋愛を上乗せするとなると、かなり大変だよね。

池田:確かに「平日のアフター5は習い事や女子会で埋まってます」「土日は勉強会や料理教室です」みたいな女子って、男性的には誘いづらいですよね。忙しそう…って敬遠しちゃいそう。

清田:いや、逆に忙しくて余裕がなさそうな女子って、悪い男を引き寄せる可能性が高いような気がする。桃山商事に相談に来てくれた女子の中には、そういうケースが結構あったんですよ。悪い言葉でいうと、「つけこみやすい」と思われてしまうのかもしれない。疲れてそうだから押せばイケる、みたいなね…。

池田:へぇ、意外! 女子目線で考えると、余裕のない女はそもそも男性から誘われないものだと思ってました。

清田:セフレを探している輩とか、行き当たりばったりな恋愛でいいやみたいな輩が近寄ってきて、ちょっと心を許すと、ジャンクな恋愛が始まってしまう…。そういう関係に悩んでいる女子も多かったです。

池田:心が荒んじゃいますよ。

清田:そうだよね…。しかも、女子のカラダはデリケートにできているし、心身とも傷つくとなると、本当に大変だと思う。恋愛を食べ物にたとえるのもどうなんだって話だけど、セックスってカルビや大トロみたいな貴重な部分だと思う。そして悪い輩は、そこだけを食べようとする。ジャンクな恋愛には、そういう搾取の危険性がつきまとうんだよね…。

池田:ツラいですね。でも、セフレ状態からなかなか抜け出せない女子もいます。

清田:以前、「セフレに慣れてしまった」と言う女子がいたな。たとえば、読書の習慣がなかった人でも、本を読み続けていると読書にかかるカロリーが減ってきて、その行為が楽になってくる。そういうのと同じで、ジャンクな関係が楽になってくるみたい。もちろん、それが日常のちょっとした癒しやリラックスになっているならいいとも思うけど、セフレが帰った後に、部屋でひとり溜め息を吐いちゃうようなら、その関係はやめたほうがいいと感じます。

池田:恋人でない相手とスポーツ感覚でセックスを楽しめる人なら、そんな関係もアリかも知れないでしょうけどね。でも「この恋愛はダメだな」と感じている人が、その関係を卒業するにはどうしたらいいんでしょうか。

「自分が好きなこと」を楽しめる場に顔を出してみよう

清田:まずは、薄ーく恋愛感情を持てる男友達を作ってみたらどうかな? 月1でお茶に行ったり映画に行ったりしてみるとか。

池田:男友達と恋愛に発展する可能性はありますよね。私も過去にありました。もちろん「絶対にこいつは友達止まり!」みたいな人もいるけど(笑)。

清田:もっとも、たまに勘違いするオトコもいるとは思うけど…。完全に友達だと思っていた女子から映画に誘われただけで、「えっ、これデートの誘い? もしや恋愛対象だと思われる?」って舞い上がったりとか(笑)。

池田:清田さんも女子から誘われることが多そうですね。いまもこうやって話していると、完全に女友達と話してる感覚ですもん(笑)。

清田:単なる恋バナ要員だと思うけど…。桃山商事の活動でも、ずるずる続いている不倫関係を抜け出したいという女子からの依頼で、「リハビリデート」と称して一緒にディズニーシーへ行ったことがあります。佐藤広報というメンバーでよければ、いつでもお付き合いいたします(笑)。

池田:ほかにはどういう場所で自然な出会いを作れるんでしょうか。

清田:共通の友人がいる趣味のイベントやサークルに顔を出すというのもいいかもしれない。男って、「この環境じゃヘタなことできないな」ってときのほうが、マジメに人間関係を築こうという意思が高まると思うので。そういう意味では、Facebookで立てられたイベントなんかは参加する友達がわかるからいいかもね。

池田:仕事も同じですよね。「●●さんから紹介された仕事だから、下手なアウトプットは出せないな」とか思いますもんね。

清田:恋愛目当てというよりは、まずは自分自身が好きなことを楽しめる場に行って、偶然が働いて恋愛が始まる、みたいなパターンがいいような気がする。たとえば、最近「猫町倶楽部」という読書会が出会いの場としても注目されてるという話を聞きました。そこは、みんなで課題図書を読んで感想を話し合うって場なんだけど、そういう中で感性の合う人同士が恋愛関係に発展していくってケースがあるみたい。

池田:本がきっかけっていいですね! 憧れちゃう。

清田:同じ本を読んで、相手がどの部分で心が震えたのかとかを知れるのがおもしろいよね。感性でつながれるってステキなことだよなぁ。ああ、自分もそんな恋がしたいです(笑)。

今月のまとめ

1.まずは「自分がどうしたいか」を考えよう
2.自分のためにも、ダメ男を寄せつけないためにも「余裕」を持とう
3.趣味や好きなことを楽しめる場に参加してみよう

清田氏が推薦! 今月読みたい本

一夫一妻制度に収まらない多様な社会について、世界各国の事例を元に書かれた『官能教育』は読むと男女の関係性に対する考え方が変わるかも。『その後の不自由』は薬物依存の当事者が書いた薬物依存に関する本。「普通の生活」がいかに素晴らしいものか気づくはず。

清田隆之
1980年生まれ。恋バナ収集ユニット・桃山商事代表。『日経ウーマン』などで恋愛コラムを連載中。2014年2月に桃山商事の著書が発売予定。Twitter(@momoyama_radio

2013.12.30

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記事を書いたのはこの人

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Written by 池田 園子(いけだ そのこ)

岡山県出身。中央大学法学部卒業後、楽天、リアルワールドを経てフリー編集者/ライターに。関心のあるテーマは女性の生き方や働き方、性、日本の家族制度など。結婚・離婚を一度経験。11月14日に『はたらく人の結婚しない生き方』を発売。 写真撮影ご協力:青山エリュシオンハウス 撮影者:福谷 真理子