ワタシノシゴト。第6回 株式会社カカクコム 大沼貴子さん

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2014.05.20.Tue

「ブラ選びに悩みを抱えている方に一刻も早くAll For Meを知ってもらい、実際に使ってもらうことが直近の目標です」

会社員、起業家、フリーランス…さまざまな働き方を選んでいる女子たちに、仕事を通じてライフスタイルを掘り下げる連載企画。自分に合ったキャリアを探る働き女子にとって「こんな働き方もあるんだ」と参考になるストーリーをお届けします。第6回はブラジャーのセミオーダーメイド通販サイト「All For Me」の責任者を務める、株式会社カカクコムの大沼貴子さんにお話を伺いました。

初めて挑戦することへのワクワク感が大きかった

これまでの経歴を教えてください。

大沼:大学卒業後、アクセンチュアやGoogle、トライバルメディアハウスで働いてきました。個人事業主として仕事を請けていた時期もあります。カカクコムには2012年9月に入社しました。

「新規事業準備室」に所属されていますが、入社当時はどんな心境でしたか。

大沼:以前個人事業主として働いていたとき、独り立ちするにはスキルが足りないと感じていました。一方で、私はかなり自由な性格なので「会社組織はあまり向いていないのかも…?」と感じることもありましたが(笑)、まずはサラリーマンとして力をつけたいと思ったんです。新規事業を立ち上げる際には、あらゆることをしなくてはなりません。そんな状況は私にぴったりだなと。チャレンジャー気質があるので、「やったことがないこと」をするのは絶対に面白いだろうなと思い、ワクワクする気持ちが大きかったですね。

そんななか、大沼さんが立ち上げたAll For Meの売りポイントを教えてください。

大沼:All For Meはブラジャーのセミオーダーメイド通販サイトです。100万通り以上のデザインから、自分好みのブラを作ることができます。カップサイズはAAA~Jカップ、アンダーサイズは2.5cm刻みで60~100cmで選べるので、自分の身体にぴったりフィットするブラが手に入ります。ショーツとセットにしても15,000円以内と、セミオーダーとしては安価ながらも、日本製の高品質なブラをお届けできるのがポイントです。

サービスを思いついた経緯を教えてください。

大沼:まず私自身がAll For Meのようなサービスがあったらいいのに…と思っていました。ブラを着けるようになって20年ほど経ちますが、サイズに悩むことが多かったんです。女性の必須アイテムで、肌に一番近いところに身につけるものなのに、服や靴みたいにデザインや品質、価格すべてに満足できる製品を選べないのは残念だなと。そこで、直販で安く高品質なブラを提供できる仕組みを作りたいなと考えました。

一般的にオーダーメイドと聞くと、高価なイメージがありますね。

大沼:はい。店舗を持たずにネットで販売することでコストを抑え、ブラ単体で1万円を切る価格で提供するのが理想でした。あわせてネットでブラを購入する場合、試着ができなくてサイズが合わない可能性もあるので、無料の試着サービスも用意しました。アイデアを形にしていく中で、社内の女性を集めて座談会を開催したんです。「興味はあるけど…高いんでしょ?」といった女性が多かったのですが、1万円以内という価格を伝えた瞬間「セミオーダーなのに普通に買えちゃう価格だね!」と好感触を得たので、これはイケるかもと思いましたね。

人それぞれだとは思いますが、アラサー女性は下着にどれくらいお金をかけているのでしょうか。

大沼:調査する層やグループによっても変わると思いますが、平均的には6,000円前後のようです。インポートになると1万~2万円ほどになります。社内の女性たちからは「セミオーダーだと3万円くらいかかると思ってた」と言われましたね。みんなの予想価格よりも低く抑えることで、サービスとして成り立つのではないかと確信したんです。

セミオーダー商品対応の工場探しに6か月かかった

All For Meはこれまでカカクコムが提供してこなかった、100%女性に寄せたサービスですよね。社内で話を通すときに苦労はありましたか。

大沼:企画を実現するためには何でもやろうと決めていたので、それほど苦労を感じたことはありません。役員陣の承認を得るために、市場規模や状況に関するデータや数字を見せるのはもちろん、物販の経験がない会社だからこそ「商品在庫を持たないメリット」を明確にした社内プレゼンを心がけましたね。

ブラはシンプルリッチな巾着袋に入って届く

社内での承認を得た後、プロジェクトを進める段階で大変だったことはありますか。

大沼:ブラを購入していただくウェブサイトという「サービス」のほかに、企画開発スピードが全く異なる商品という「モノ」を同時に見なくてはならないのが、最初のうちは慣れませんでした。中でもモノづくりの部分で、セミオーダー商品を受注してくれる工場探しには苦労しました。All For Meではブラのパーツごとに生地を選べるので、かなりきめ細かいサービスを提供できる工場と連携する必要があります。品質にこだわるためにどうしても日本の工場にお願いしたかったので、工場探しには最終的に6か月ほど時間がかかりました。

工場はIT業界とは真逆にあるような歴史ある業界。アポイントを取るのにも苦戦しそうです。

大沼:会ってもらうまでにも時間がかかりました。工場に電話をかけると「カカクコム? 家電を売りつけられると思ったよ」というような、ちょっと面白いやりとりもありました(笑)。やはりカカクコム=家電比較サイトのイメージが強く、セミオーダーブラを作りたいという思いをイチから丁寧に説明し、理解していただくことが必要でした。「話だけでも聞くよ」と言ってくれた工場へ直接出向いて、セミオーダーブラを作りたい理由を真摯に伝え、現在提携している工場の方と出会うことができました。働く方全員が女性の工場で、女性目線を活かして作っていただいてます。

現在、All For Meでは注文の確定を受けてから約4~5週間で商品が届きますよね。それも少量生産で、かつ工場も他の仕事を請ける傍ら、制作しているからでしょうか。

大沼:何百種類もの生地をはじめとする資材の管理も大変ですが、生地を切り出すところからスタートして、実は部位ごとに違うミシンを使って作っているんです。使う生地によって糸も変えなくてはなりません。このように1つの製品を手作業で作るため、現状、注文から発送まで時間がかかっています。生産フローの業務効率化のためにも、引き続き、サービス側で注文数を増やす取り組みに力を入れていきたいですね。

国産ならではの高品質を実感してほしい

All For Meのブラでこだわっているポイントを教えてください。

大沼:まずは品質です。生地や縫製、パッドなどから、メイドインジャパンのクオリティーを感じていただけるはずです。品質に加えて、オンラインで商品在庫を持たないからこそ実現できる価格にも満足していただき、リピートしてくださる方も多いです。一方で、オンラインだから試着ができないという課題を解決するために、自宅でブラのサイズを確定できる、試着専用ブラの無料レンタルサービスを提供しています。試着していただくと、よりご自身にぴったり合うブラをお届けできます。

右下のような黒×赤い花柄はとくに人気

現在、どのようなチームでAll For Meのサービスを提供していますか。

大沼:私を含めて4人のメンバーでサービスを運営しています。生産管理・商品企画1名、デザイナー1名、エンジニア1名で、ユーザーを増やしたり、サービス全体に関する内容を判断したりと、各メンバーが担当する業務以外全般について主に私が担っています。

今はどのようにしてユーザーを増やしていますか。

大沼:リスティング広告やFacebook広告を出稿したり、雑誌のプレゼントコーナーに商品を提供したり、ブラを試着できるオフラインでのイベントを行ったりと、オンライン・オフラインともに施策を行っています。まだ手探り状態ですが、それぞれどのような反応があるのか見て、より効果的な取り組みをしていきたいですね。

今後の目標を教えてください。

大沼:ブラがセミオーダーで作れることを知らない方も少なくありません。All For Meが他とどう違うのかを伝えるために、質感を伝えられるリアルイベントを行ったり、さまざまなチャネルを使ったりして、セミオーダーの敷居を下げることが大事だと感じています。女性人口の80%くらいは「ブラのサイズが合わない」といった悩みを抱えているともいいます。ブラ選びに悩みを抱えている方に一刻も早くサービスを知ってもらい、実際に使ってもらうことが直近の目標です。

ありがとうございました!

▽ 大沼 貴子
1982年生まれ。アクセンチュア、Google、トライバルメディアハウスでの勤務を経て、2012年にカカクコム入社。新規事業準備室でマネージャーに。現在はセミオーダーメイドブラ「All For Me」事業の責任者を務める。息抜きはもっぱら島旅。
All For Meデザインカタログ

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記事を書いたのはこの人

Written by

池田 園子(いけだ そのこ)

フリーランスの企画ライター。86年生まれ。
楽天でポータルサイト運営、ITベンチャーでメディア運営を経て独立。主な執筆ジャンルは、恋愛、Web、ガジェット、新しいモノ、働き方、イケメンなど。
現在はGoogirlのほか、R25、ITmedia、Impress、J-cast、ウレぴあ、gooなど、10媒体以上に執筆中。
著書に『フリーランスで食っていきたい!』がある。
ブログ『Sonoko Blog(http://sonoko0511.jp/)』でも発信中!
  写真撮影ご協力:青山エリュシオンハウス 撮影者:福谷 真理子