「YES/NO」を自分で決め、ラクに楽しく子育てするママを増やしたい―『0歳から6歳までの東大に受かる子どもの育て方』著者 母学アカデミー会長 河村京子さん

2014.04.04

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産前に2000冊以上の育児書を読み、東大現役合格、数学オリンピック決勝進出、珠算4段、書道7段の3人の子を持つ河村京子さん。
そんな現役ママが立ち上げたのが「母学アカデミー」。「『子育ての軸』がしっかりすれば、ブレない子育てができ、子育てがラクに楽しくなる」という彼女に、母学が生まれた経緯から、今必要な子育てのコツについて聞きました。


育児書通りに「育たない」ではなく、「育てられない」

「母学(ははがく)」を作ろうと思われたキッカケを教えてください。

河村:「最近は、『子どもは育児書通りに育たないから育児書は読まなくていい』と言われていますよね。でも実際は『育児書通りに育てられない』のです。人間ですから、大ざっぱなどの性格や、体調や機嫌の悪いときもあります。『いつも笑顔』でいるのも無理で、無理をするとある日突然爆発したりしますよね」

「完璧な母親像」を目指すも理想通りに行かず、落ち込んだり、自分を責めるママは多いと感じます。

河村:「だから育児書を全く読まなくてもいいかと言うと、そうではありません。私は子どもを産む前の5年間に、図書館で週1回10冊ずつ、育児書や子育ての本を読みました。あとから数えると、およそ2000冊以上ですね。それから3人の子を育てましたが、育児書で共感して実践したところは、やっぱり手応えがあるのです。理想は悩んでから育児書を開くより、最初から知っていること。その場で対応できますし、子育てがすごく楽になるんですよ。私自身、子どもに怒ったことは1度もありません」

3人育てられていて、1度も怒ったことがないのですか! 「育児が楽になる」秘訣も、気になります。

河村:「育児書を2000冊読み、実際に3人子育てすることで、成功もあれば失敗もありました。そこから学んだものを、母学として教科書にまとめました。『母学(ははがく)』とは、『お母さんが学ぶ』ためのものなのです」

戦後に消えた「子育ての教科書」を作る

河村:「実は今の時代は『子育ての教科書』がありません。戦前まではありました。三世代同居で、祖父母から近所の世話好きおばちゃんまで、近所みんなで子育てをする。それが『教科書』でした。しかし戦後にアメリカの価値観が入り、それまでの教科書が通用しなくなります。今は『団地で核家族』というスタイルも普通ですよね。高度経済成長期はモノの豊かさを追求する時代でしたが、今は不況。経済環境や価値観も、目まぐるしく変化しています。一方で昔無かったものが、今はある時代です」

たしかに今は“孤育て”というように、ママ1人で子育てする人も多い時代。昔は無かったテレビ、パソコン、DVDも当たり前になりました。

河村:「『自分の親が育てたように子育てすればいい』と思っている人もいますが、今は通じません。実際は子育ての教科書がなくなったのに、あると勘違いしているのも問題になっているよう感じます」

筆者も3歳の子を育てていますが、子育ての問題は祖父母・ママ友・ネットのクチコミなどでは180度意見も違い、バラバラ。「何を、どこまで信じればいいか?」という、情報の選択とさじ加減に迷うママも多いでしょう。

志考力で「子どもの夢の土台」を作る

では、母学が目指すのはどのような子育てでしょうか。

河村:「『子どもには夢を叶える子になって欲しい』と、お母さんなら誰もが願いますよね。でもその夢が『宝くじで5億円当てて一生楽に暮らしたい』だったら? ちょっと違う、と感じると思うのです。親が『医者になりなさい』と、夢を作ってあげることもできませんよね」

夢を叶える以前に、夢自体を持てないという悩みは、大人でも多いですよね。

河村:「子どもが夢を持つためには、『夢のベースとなる土台』が必要になります。土台を作るためには、まずは親が志を持って生活をすること。そうして子どもも志をもって考える子になれば、あとは子どもに任せれば大丈夫です。志があれば、絶対に何かをやりたくなります。私の子も勉強が好きで、その結果の東大合格でした」

夢を持って叶えるためには、志を持って考える「志考力」が鍵なのですね。

今からの子育ては「守る」と「芽を摘まない」の2つが大切

今からの子育てで大切なことも教えてください。

河村:「習い事や勉強をさせるなど、『プラスの子育て』を考えられる方も多いですよね。ですが今からの子育ては、プラスよりマイナスです。子どもを『どれだけ守れるか』が大切になります。もう1つは『芽を摘まない』こと。農業で生活してきた日本人は、皆で協力し合わないとお米が作れないので、1人目立てば叩かれてきました。その影響で、日本人は『自己肯定感』が低いのです。自己肯定感とは『自分は価値ある人間』『やればできる!』と、自分をOKだと思える感覚ですね」

必要以上に自分を責めたり、挫折に弱かったり、挑戦を諦めたり…身に覚えがある人も多いでしょう。

河村:「欧米の方は自己肯定感が高く、国際化社会ではそういった方たちとやっていかなければいけません。自己肯定感を高めることが大切ですが、そのためには子どもの『好き』や『やりたい』など気持ちの芽を摘まないことです」

「YES/NO」を自分で決めれば、ラクに楽しく子育てできる

今後について教えてください。

河村:「母学を知ることで、子育ての『YES/NO』を自分で決められ、ラクに楽しく子育てできるママが全国に増えていってほしいと思っています。とはいえ1人の体では限りがあるので、本を読んだり学んでくださった方が、代わりに同じように伝えて頂けると加速するでしょうね」

産後欝の一因ともわれている「情報過多」。「何をどこまで選ぶか」を自分で決められれば、肩肘張らず、楽しく子育てできそうですね。ありがとうございました!


河村京子
「母学アカデミー」学長。2男1女(大学生・高校生・中学生)の母。「ラクに楽しく賢い子どもを育てよう」をモットーに子育て中。関数グラフアートコンテスト最優秀賞(長男)、数学オリンピック決勝進出(次男)、そろばん4段・書道7段(娘)などの子育ての実績をもつ。長男は2013年3月、東京大学理科1類に現役合格。自分の子育て経験の成功と失敗を生かして、子育て中のお母さんに“母学”を伝授。著書『0歳から6歳までの東大に受かる子どもの育て方』(中経出版)、ブログ「母学で子どもは輝く!」

2014.04.04

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記事を書いたのはこの人

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Written by 宮野茉莉子

84年生まれの哲学ライター。東京女子大学哲学科卒業。野村證券を退職後、2011年よりライターへ。主に生き方や働き方について、哲学を交えた本質を探る記事を執筆。他、子育て、夫婦、FPとしてマネーなど、6媒体で執筆中。愛雑誌は『PRESIDENT』。現在一男児子育て中。 Facebook→https://www.facebook.com/miyano0928 blog→http://blog.livedoor.jp/miyano0928/