気をつけて! “褒めて伸ばす”子育て法に潜む落とし穴とは?

2013.11.15

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叱るのではなく、その子の良いところをどんどん褒めて伸ばす、自己肯定力をつけさせる、という育児方針は最近のトレンドとも言えるほど。叱ったり、悪いところを指摘して子どもを委縮させるより、自信をつけさせたほうが精神面にも良いと思われているようです。たしかに一理あるようですが、最近の英語圏ではそんな風潮に疑問を投げかける人も出てきました。
ただやみくもに“すごいわ!”、“よくやったわね”、“えらい!!”といった典型的な 褒め言葉を浴びせるよりも、子供の成長をより促すのに大切なのは、“ポジティブ・フィードバック”だというのです。


感情的な“褒め言葉”よりも具体的な“ポジティブフィードバック”が効果的なわけ

皆さんは子どもを褒めるとき、その子のどんな行為や努力が称賛に値するものか、きちんと教えてあげているでしょうか。実はなにをしたか(行為)、そしてそれがどうして好ましいものなのか(評価)といった情報が、子どもたちにとっては大切なのです。そうした情報を集積することで、自分の才能や長所、あるいは人間性といったことを学んでいきます。長期的な目で見ると、そうしたプロセスこそが人間として成長していくうえでとても重要になってくると言うのです。ただやみくもに、“すごいわね”、“えらいわね”と言われ続けるだけでは、なかなかそこまで深い洞察を得ることはできません。

“フィードバック”とは客観的な視点からコメントするものです

褒め言葉となるとどうしても全面的にその子のことを称賛することになります。でも多くの育児シーンで必要となってくるのは、「Aについてはよくやった。でもBについてはもっと直すべきことがある」と子どもに伝えることではないでしょうか。全面的に良い、悪いだけでは割り切れないシーンがたくさんあると思うのです。
そんなとき、ただ褒めてみるだけでなく、“フィードバックを与える”ということを意識すると、良かった点、直すべき点の両方についてもっと客観的に冷静なコメントができるようになります。

小さい頃から褒められることに慣れ過ぎるのもキケン……

もう一つ“褒めて伸ばす育児”の落とし穴をご紹介しておきましょう。それは小さい頃から親にも学校の先生にも“よくがんばってる、えらい。えらい”と褒められ続けていると、根拠のない自信ばかりが大きくなってしまうというマイナス面もあるのです。“自分はクラスメートよりも優れている、特別な存在だ”というエゴが強くなり、他人を見下ろすようなことも出てきます。最近、イジメもますます陰険だったりしますが、自分は特別な存在で人より優れているんだという自信が肥大化すると、ほかの子にひどい行為をしても構わないという意識が強くなり、イジメの遠因ともなりかねません。
その一方、なにかでその自信が崩されると、すべてにおいて自分には価値はないと思い込んでしまう“打たれ弱さ”も目につきやすくなります。“褒めて伸ばす”方針も行き過ぎると、そうした精神的なアンバランスさを生み出してしまうことがあるのです。

英語圏でもかつての親たちは、はるかに厳しく、子どもを褒めそやすようなことはありませんでした。でもその分、困難な人生を生き抜くタフさを培えていたとも言えます。私たちもいたずらに甘い言葉や、一見ポジティブなばかりの褒め言葉ばかりに頼らないように気をつけましょう。

2013.11.15

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記事を書いたのはこの人

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Written by Waxy

南半球オーストラリアから世の動きを眺めています。 ガーデニング好きで、イチゴ栽培が特にお気に入り。