『雨降る夜に読みたい』心を潤すオトナ恋愛系漫画家vo.2「やまだないと」

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宮野茉莉子

Written by:

2012.07.06.Fri

オトナ恋愛系漫画家とは「働く女子独特の辛さ、オトナならではの恋愛の切なさ、ちょいエロ」を描いた漫画家。20~30代の仕事に恋にと頑張る女子の、人には言えない気持ちを等身大でリアルに表現している漫画家さんたちのことを言います。
今回は「一人時間や日常のやるせなさを誰かと共有したい、愛と性欲について考えたい、オシャレな漫画を読みたい」人にオススメしたい、やまだないとさんです。

やまだないとのナカミ

キーワードは「性欲と愛、日常、東京(主に西荻)、パリ、映画、写真」。
やまだないとさんの漫画は、芸術表現に近い作風。ご本人が映画好き、パリ好きというだけあって、フランス映画を思わせる読後感が特徴的です。実際の写真を漫画に組み込んでいる作品もあり、オシャレで可愛い描写は読んでいて女ゴコロを刺激されます。

作風は、大きく分けて「日常」と「エロ」に分かれています。
「日常」系の代表作は、『西荻夫婦』。「ありふれた日常を、ここまで作品にできるのか」と驚くほど、ストーリーとしての動きはありません。けれど日常生活に垣間見える「「慣れ」へのやるせなさや悲しさ」「どこへも逃げようのない日常の牢獄感」「いつか世界が終わる感覚」を見事に表現。特に人には話さないけど、当たり前の日常に感じる切なさに共感できます。(『西荻夫婦』についてはこちら『切ない気持ちにひたれる恋愛漫画 厳選ベスト4』で紹介しています。)
「エロ」系の代表作は、『ero*mala』。もちろん、ただエロいだけではありません。過激な性描写の裏側には、性の持つ救いようのない暗さが表現されています。例えば、独占欲、求愛、性と生、死など。

オススメ2冊

今回は「日常」と「エロ」のオススメの本をそれぞれご紹介します。

Coffee and Cigarette

一人暮らしの人、彼氏のいないアラサー女子にオススメ。
彼氏のいないアラサー(予想)女子の、一人時間の過ごし方を描写。カフェや散歩中に考え事をしたり、雑貨屋で将来の夢を空想したり、女友達を招く前に花を飾ったり。1人の時間を過ごしながら空想しているのは、やがてくるだろう、 「いつか誰かと過ごす日のこと」「いつか夢を叶えた日のこと」。でもやっぱり、いつかはいつかで、今の1人の生活も楽しんでいる。「一人時間」を過ごすことの味わい、楽しさ、切なさが、短編でシンプルに語られています。
パリ、ベルギーなどの旅先、街角、雑貨屋、花屋などの実際の写真が漫画にとり入れられており、雰囲気が良くオシャレな1冊。読んでいるだけで一人の生活を楽しむ意欲が湧いてくるので、おひとりさまのお守りにしたい本です。

ero・mala

短編集ですが、題名にもなった最後の「エロマラ」が、最高傑作とも言われている作品。
ただセックスがしたくて売春をする学生、トリコ。彼女にとって、何よりもリアルに感じるのがセックス。100%死んでしまうセックス感染症が全国的に蔓延するのですが、「死ぬことより、セックスでイクことのほうがリアルだから」と、商売をやめません。
人間は自分の性欲と孤独感を埋めたい衝動を、「愛」というキレイな言葉に言い換えて、人と繋がろうとする。性欲や本能の衝動に、愛は勝てない。一方で、体を重ねなくても心が結びつき、満たされる愛もある。「愛」と「本能」のせめぎ合いが表現されています。
性描写が多いのですが、ラストでは思わず涙してしまいます。

ライター:宮野茉莉子
証券の営業を経て、現在フリーライター&子育て中。読書、写真、旅、お酒、哲学が好き。「哲学=アート。自由▽ オリジナリティー▽ 実験的に物事を考える。」がモットー。

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宮野茉莉子

84年生まれの哲学ライター。東京女子大学哲学科卒業。野村證券を退職後、2011年よりライターへ。主に生き方や働き方について、哲学を交えた本質を探る記事を執筆。他、子育て、夫婦、FPとしてマネーなど、6媒体で執筆中。愛雑誌は『PRESIDENT』。現在一男児子育て中。
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