しなやかな私をつくる本 #16『服は、あなた。』

女性が生き方や考え方をアップデートし、つよくしなやかな自分を目指すのに役立つ本を月に1冊紹介します。


服は自分。着るものは生き方を体現している

クローゼットを開けると服がたっぷりかかっている。一度も袖を通していないものもある。でも、なにを着ていけばいいか、毎朝迷ってしまう……。そんな方は少なくないのでは。だから、服や着こなしに関する本が、ばんばん売れているわけです。

「えーい、悩んでいても仕方ないっ!」目についた適当な服をとりあえず着て、慌てて家を飛び出す。会社に着く頃になって、「やっぱりこの組み合わせは変かも」「あのスカートを履いてくればよかった」と後悔。服に迷うと、そんな感情を抱くこともあるでしょう。

今回は服と生き方について考える本『服は、あなた。』をご紹介します。タイトルのとおり、自分がまとう服=自分自身を現している、ということ。著者の政近準子さんはこう語ります。

「服には、どう生きていきたいのか、『その人自身』があらわれている」「迷いがあれば迷いが見え、なんとなく生きていればなんとなくの服しか着られない」「見栄っ張りな人は服もただ表面を取り繕っているだけで、話すとメッキははがれてしまう」

しょっぱなから厳しい(?)言葉が並びます。なかには耳が痛いと感じる方もいるかもしれません。しかし、本書には着る服を熟考して選ぶことで、人生を変えるヒントが詰まっています。いくつかのエッセンスを抜き出してみましょう。

変わりたいなら、行動も服も変える

「変わりたい」「現状を打破したい」と心のなかで思っていても、なにひとつ行動に移すことなく、不満を口に出したり、夢物語を話したりするだけでは、理想とする未来はやってきません。では、どうするか。政近さんはこう背中を押します。

「いきなり大きな結果を求めず、まずは半歩だけでも前進する。変われない自分を他人のせいにせずに、本当に変えたほうがいい部分に気づき、毎日の習慣のなかで改善するポイントをちいさなことから具体的に考えて実行するのです」

服もこれと同じ。クローゼットに数年着ていない服はありませんか? 「高かったから」「いつか着るはず」と着もしないのに置いておく姿勢は、変化を呼び込むどころか、退化ではないでしょうか。それを着る理由をクリアにしてこそ、自分が変わっていくのを実感できるはず。

ワードローブに「軸」を持つ

「なんとなく」や「そのときの気分」に従って服を買っていると、クローゼット内が一貫性を失い、雑多感が出てしまうのも当然。日々の着こなしもワンパターン化したり、ガチャガチャしたりと、決して洗練された風にはなりません。

こういったイケてない服の選び方は、仕事の仕方にも現れると政近さんは指摘します。その場しのぎで動いているため、仕事そのものに軸がなく、結果も出せないというのです。軸とは背骨のようなもの。それがないと安定感がなくなるのはあたりまえです。

では、服に軸を持たせるにはどうすればいいのでしょうか。政近さんが推奨する方法は、自分のコーディネートを撮りためて、シーズンごとのコーディネートをパターン化し、それに従ってローテーションで着ていく、というもの。

こうすれば出かける前に悩むこともなくなり、シーズンごとに必要なもの、足りているものが一目瞭然です。クローゼットもすっきりします。

「ワードローブの全体が把握できるようになると、おしゃれセンスが向上するばかりではなく、仕事もできるようになります。服の管理と仕事の質は比例しますから、スケジュール管理もできるようになるのです」といいことずくめ。

悩みや迷い、不安を服から解消していこう

導入編となるChapter 1は「服が語るあなたの価値観」、仕事にフォーカスしたChapter 2は「選ばれる女の仕事服」、恋愛・結婚と服との関わりを説くChapter 3は「服から手に入れる最高の恋愛と結婚生活」、より実践的なChapter 4「運命を変える服習慣」では、

・ 自分磨きより、目の前にある靴を磨こう!
・ 服は、着られるか着こなすか。ジュエリーは、生かすか殺すか
・ カップ付きキャミソールを日常にしない

など、服との向き合い方が、具体例を豊富に用いて語られています。どこから読んでも発見があるのではないでしょうか。

服に迷っている、人生ちょっと迷走気味……そんな女性に手にとってほしい1冊です。

▽ 前回はコチラ

2016.12.09

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記事を書いたのはこの人

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Written by 池田 園子(いけだ そのこ)

岡山県出身。中央大学法学部卒業後、楽天、リアルワールドを経てフリー編集者/ライターに。関心のあるテーマは女性の生き方や働き方、性、日本の家族制度など。結婚・離婚を一度経験。11月14日に『はたらく人の結婚しない生き方』を発売。 写真撮影ご協力:青山エリュシオンハウス 撮影者:福谷 真理子