しなやかな私をつくる本 vol.10~『後天性美女』~

女性が生き方や考え方をアップデートし、つよくしなやかな自分を目指すのに役立つ本を月に1冊紹介します。


99%の女性は後天性美女になれる素質を持つ

生まれつき、容姿や家柄、経済力、頭のよさ……それらすべてが完璧な女性は、いったいどれくらいいるでしょうか。なにもかも「もともと持っている」彼女たちを「先天性美女」にカテゴライズするとしたら、この世に1%も存在しないのではないか――。

そう語るのは『後天性美女 自由に人生をデザインするためのスタイルブック』を上梓したジュエリーデザイナーの永松麗子さん。1999年に自身のジュエリーブランド「jewel GLAMOUR」を出身地の福岡で立ちあげ、2013年に六本木ヒルズに直営店をオープンさせ、いまも店舗では直接接客を行っています。
タイトルにある「後天性美女」は、先天性美女のようになにもかも100%兼ね備えた女性ではありません。自分に足りないものをわかっていて、知性と感性で補うべく前向きに努力し、思い通りの人生を築きあげていける女性のことを指す、と永松さん。

後天性美女が持つ3つの絶対条件

さらに、後天性美女の明確な条件として「美しく、経済的、精神的に自立していること」をあげています。どれにも確固たる理由があります。
まず、美しくなると自分に自信がつき、堂々とふるまえるようになります。結果、周囲と円滑にコミュニケーションをはかることにもつながり、心地よい人生を創り出すことができるのです。
経済的、精神的自立ができていると、自分の頭で考えて決断・行動するようになり、それらを積み重ねるうちに、迫力や存在感が身についてきます。主体的に選び、生きざまが顔にあらわれ「いい顔」になります。

強い意志が女性の魅力をつくる

身のまわりまたはメディアのなかにいる、夢や目標をひとつひとつ着実に達成してきた女性を思い浮かべてみてください。良くも悪くも貫禄があり、特有のオーラを発しているはず。経験とともに、歳を重ねてきたからこそにじみ出る魅力も、佇まいから香り立つようです。
そんな後天性美女として生きていくには「『神には祈るのではなく、誓う!』といった覚悟が必要となる(中略)最後はやはり自分の強い意志である」と永松さんは語ります。
自身の歩んできた道を振り返りながらつづられた本書から、アラサー女性たちが今日からでもマネしたい習慣を選りすぐってご紹介します。

起きたことは受けとめ、立ちどまらない

仕事でつらい目にあうと、泣いてしまう女性は少なからずいます。「女の涙は武器」なんて言葉もありますが、永松さんは仕事で泣いたことがない、といいます。理由は泣いてもなにひとつ解決できないばかりか、ビジネスシーンでは「めんどうな人」として扱われて終わるから。
起きてしまったできごとは、自分のいま現在の実力を示したものであり、自分が決断し、実行した結果。だから冷静に受けとめ、自らの力のなさを認めるほかない、と永松さんは考えています。正論すぎるくらいの正論。
さらに、一度ダメになったらおしまいの恋愛とは違い、一度手からすり抜けていったものを再び手にできるのが仕事だ、とも言うのです。だからクヨクヨと立ちどまる時間などなくし、問題解決法を考えよう、と自分に言い聞かせているのだといいます。

己を正しく知り、イメージを整える

永松さんのように自身でビジネスを立ちあげた人、フリーランスの人にとって、「自分のイメージ=その人のアウトプットするもの(商品、サービス)」のイメージ。長年にわたりジュエリーの仕事をやってきた永松さんは、自身のメディア露出が、ブランド・jewel GLAMOURの広告代わりになるため、ブランドのイメージ通りの自分を演出できるよう、正確にプロデュースする必要があったとふり返ります。
「いつの時代でも、自分で自分を巧く演出していくことは成功を加速させる大きな武器となる」とし、そのためには自分という素材を客観的かつ的確につかんで、自分に似合うものを正しく理解し、爪先から頭のてっぺんまでの見た目はもちろん、仕草や言葉づかいにいたるまで、目指すイメージが一貫するよう整えることが必要だと語るのです。
自分のこととなると、つい主観的に見てしまう……そんな方は少なくないはず。客観的・俯瞰的な視点をもって自らを見つめるよう、常日頃からの意識が欠かせません。

肌、髪、歯を磨き、美しく保つ

肌と髪、歯――この3つのベースとなる素材がきれいに保たれていれば、女性は美しく、いい意味で年齢不詳に見えると永松さんは語ります。肌の美しさは清潔な印象を与えるだけでなく、普段の生活やお手入れがわかりやすく反映され、ケアの結果が出やすいことも特徴です。
髪や歯は肌以上に手がかかるかもしれませんが、年齢が出やすいパーツゆえ、自分に合ったケアをこまめに行うことが必要。でも、その3点を整えるだけで、顔の造作が整っていなくても品のある美人に見せられるなら、手をかける価値大。

前職の広告代理店時代に、なぜジュエリーを一生の仕事にしようと決めたのか、福岡での起業〜東京進出〜直営店展開まで、さらには後天性美女をつくる具体的なTips、ジュエリー制作のこだわりやジュエリーを主役にしたコーディネートなど、豊富なテキストと写真でまとめられた本書。
冒険心をもちながら、着実に歩み続け、やりたい仕事を手にいれた永松さんは、理想の人生を実現したい女性にとって、ロールモデルのひとりになり得る存在かもしれません。

2016.06.13

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記事を書いたのはこの人

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Written by 池田 園子(いけだ そのこ)

岡山県出身。中央大学法学部卒業後、楽天、リアルワールドを経てフリー編集者/ライターに。関心のあるテーマは女性の生き方や働き方、性、日本の家族制度など。結婚・離婚を一度経験。11月14日に『はたらく人の結婚しない生き方』を発売。 写真撮影ご協力:青山エリュシオンハウス 撮影者:福谷 真理子