しなやかな私をつくる本 vol.8~『美しい朝で人生を変える』~

女性が生き方や考え方をアップデートし、つよくしなやかな自分を目指すのに役立つ本を月に1冊紹介します。


朝美人は人生をうまく乗りこなしている

「朝ランをしている」「朝7時には仕事スタート」「朝の1時間は勉強タイム」……。そんな話をきいて、いいなぁ……とうらやましく感じたことはありませんか? 朝時間をうまく活用する人は、時間割作りがうまい気がする。そう思うのは私だけではないはず。
知人に「朝時間の匠」ともいえる女性がいます。彼女は毎朝5時前後に目覚め、趣味の料理をパパッと楽しみ、プロが作ったものにしか見えない、手の込んだ朝食をふたりぶん作るのです。その他の家事も手ぎわよくこなしたあと、7時半には出社しているそう。
始業時間より2時間近くも早く会社に着いてやるのは、情報収集やスムーズに仕事をするための事前準備。そうすることで仕事も早く終わり、たくさん業務を抱えていても定時には退社できて、夜の時間をぞんぶんに楽しめる。なんと素敵な暮らし方なのでしょうか。

早く寝て、早く起きるシンプルな暮らし

私のように編集・執筆という仕事をしていると、生活がなぜか夜型になってしまう。これは言い訳です。彼女のような人と接していて、私もそろそろ朝型に変えたいと手にとったのが、ヘア&メイクアップアーティスト・藤原美智子さんの『美しい朝で人生を変える』 (幻冬舎文庫)
2004年頃まで「超・夜型派」だった藤原さんが朝型派へ切り替えることになったのは、ボリュームのある本を書く仕事を引き受けたのがきっかけでした。毎晩遅くに帰宅し、せっせと原稿を書くものの、翌朝読み直すと使い物にならない疲れ切った文章になっている、と気づいたのだとか。
朝はたいてい、慌ただしい。そんな中イライラしながら文章を直す生活は、決していいものではない。そう考えた藤原さんは「早く寝て、早く起きて、朝文章を書く」スタイルを試すことにしたのでした。結果「人は変われる」と確信し、今も朝型生活を続けています。

予定のない夜、いつもより少し早く眠りにつく

ではどうすれば、夜型から朝型へと暮らしのリズムを転換できるのか。新しい生活リズムをどう作るか、どう体に染み込ませるか……これはもっとも難しく、かつ最初にやってくる問題だといえます。
藤原さんは「起きる時間だけではなく寝る時間も決めた」「何が何でも、その時間には寝る! と決心する」と自身の方法を明かします。本気で朝型化を目指すなら、たとえやること(やりたいこと)が残っていても、寝る時間を最優先することが大事だというのです。
でなければ「あれもしよう、これもしよう」とやることに追われ、結果的に就寝時間は変わらず、夜型から抜け出せないから。一度決めた就寝時間を遵守していると頭と体が慣れて、次第に「そのリズムが普通」になってくるのだとか。まずは予定のない夜に、早くベッドに入ることから、チャレンジするといいでしょう。

朝の集中力は夜の数倍!?

そうこうするうちに朝型生活が定着してきて、藤原さんはたくさんのうれしい発見と巡り合います。たとえば、朝と夜の「集中力の密度」はまったく違う、というのもそのひとつ。夜は睡眠・就寝時間を気にしない限り、いくらでもダラダラと過ごせるもの。
一方、朝は家を出るタイミングが決まっているぶん、時間に限りがあるわけですから、脳の回転が自然と早くなり、集中力が格段に上がるというのです。短いながらも濃密な時間を過ごすって最高なこと。
だから、朝勉強するのは効果的……という説は合点がいきます。藤原さん自身は20代の頃から、語学の勉強を始めては中断し……を繰り返し(もちろんその時間は夜)、結局継続できずに終わっていたといいます。現在、その語学学習をする時間はもちろん朝。高い効果を得られていることでしょう。
そのほかにもヨガや朝風呂、むくんでいる朝にしたいマッサージなど、美のプロならではの「朝やるべきTo do」がたっぷり詰まっています。4月から朝型に切り替えたいなら一読の価値ありです。

2016.03.11

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記事を書いたのはこの人

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Written by 池田 園子(いけだ そのこ)

岡山県出身。中央大学法学部卒業後、楽天、リアルワールドを経てフリー編集者/ライターに。関心のあるテーマは女性の生き方や働き方、性、日本の家族制度など。結婚・離婚を一度経験。11月14日に『はたらく人の結婚しない生き方』を発売。 写真撮影ご協力:青山エリュシオンハウス 撮影者:福谷 真理子