しなやかな私をつくる本vol.5~『“一生美人”力 人生の質が高まる108の気づき』~

女性が生き方や考え方をアップデートし、強くしなやかな自分を目指すのに役立つ本を月に1冊紹介します。


三十路からアンチエイジング

昔は「アンチエイジング」ときいても自分にはしばらく縁のないことだと、スルーしていた女性は少なくないのでは? でも今や、アラサーからそれを意識しなければならない、というくらい女性たちはアンチエイジングに縛られている気がします。
ずっと美しくありたい、今のきれいを保ちたい。そんな女心はていどの差はあれ、誰にでもあるでしょう。だからアンチエイジングとはいえ、いくら外見を実年齢にあらがえさせようとしても、内面が固定観念にとらわれたり、進化しなくなったりと悪い意味で加齢してしまったら、あまり意味がないと思うのです。
「人は外見ではない」なんて言われていても、どんな生き方をしてきたか(しているか)、ワクワクする気持ちを枯渇させていないか、今何を考えているか、といった人の内側は必ず外見ににじみ出ると私は考えています。

そんななか手にとったのが、齋藤薫さんの最新刊『“一生美人”力 人生の質が高まる108の気づき』です。帯に「気づくだけのアンチエイジング」とあり、美容だけに限らない幅広い内容が詰まっているとわかったから。
朝日新聞の連載なので、アラフォー以上の女性がメインターゲットだと思われます。が、読者の年齢を問わない、普遍的な内容のコラムばかりでありがたい。本書から私たちでもお試しできるものを、いくつか選りすぐってご紹介します。

語尾こそていねいに口に出す

1つめは「語尾が印象を決める」という話。「ダメ」「イヤ」「困る」といった負の言葉を口にするとき、つい「~かもしれない」と付け足して、あいまいな表現に逃げてしまうことはありませんか?
齋藤さんは「語尾は“人格”ともつながってしまう人間の“要”的な要素」と話します。耳に長く残る言葉は当然、文末です。その前に語る内容が何であれ、語尾を乱暴にすると否定として、逆に語尾をやわらかくていねいにすると肯定としてとらえられてしまうのです。
普段きいているラジオ番組「安住紳一郎の日曜天国」の中澤有美子アナウンサーの、いつもやさしく包み込むような「~ですねぇ」を思い出しました。美しい語尾を言う女性を真似することから始めてみたい。

紙に文字を書き出して心のよどみを取り去る

2つめは「メモを書いて心を整える」という話。インターネットやスマホの普及で、手書きする機会は昔と比べて圧倒的に減りました。では、かわりにどこに何を書いているのか? と考えると、SNSやブログなどの「公共の場」に気持ちを綴る人は多い。
でも、人に見られているという自覚があるからこそ、何らかの意識が働いた文章になってしまうのも事実。紙に書くと自分しか見ないわけで、心のうちを飾ることなく正直に書けるでしょう。

ネット上にマイナスの言葉を吐き出して、それがイメージダウンに結びついてしまう人もいます。その行動を改めてみるのはどうでしょうか。齋藤さんは「反省や悔恨も言葉にして紙に書くと、しっかりと体に染みこんでいく。ネガティブな感情こそ、血となり肉となる。メモは人を磨くのだ」と語っています。
一日一言でもいいので、気持ちを文章にていねいに綴る習慣を身につけると、未来の自分に向かって少しずつアップデートされていくのを感じられるはず。

好奇心は人生の栄養。まずは調べグセをつける

3つめは「好奇心を持とう」という話。かわりばえしない毎日を「つまらない」と嘆く人に向けて、齋藤さんは「日々を楽しむ努力をしよう」といった、ありきたりな発言はしません。「本来は努力なんていらない。好奇心さえあれば……。おそらく人生の密度を決めるのは、好奇心。だから人生を太らせる最大の栄養と言えるもの」と教えてくれます。
好奇心を持つハードルはそんなに高くありません。「気になるお店に行ってみたい」も「映画で観たあの場所を訪れてみたい」も「アイシャドゥの新色を使ってみたい」も、すべて何らかの好奇心にもとづいたもの。でも、いざアクションを起こすのが苦手――そんなズボラさんに対し、齋藤さんは「『ひたすら知りたい』と思えばいい」とアドバイス。

まずは、興味のあるテーマを決めます。それを深く知るために本でも新聞でもWebでも何でもいいので、とにかく調べてみるのです。今まで知らなかったことを脳、体に吸収することで、新しいものが体内を巡るのは明らか。最初は「気になったことがあれば、すぐにググるクセ」を身につけるだけでもOK。おいしい水を飲んで新陳代謝を良くするのと同じように、脳が求める情報をたくさん吸収すれば、停滞がなくなるのだと思います。
歳を重ねるごとに内面は外見にあらわれてくる。だからこそ心を磨き続けなければならない。そう背筋をピンと立たせてくれる一冊です。

2016.01.03

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記事を書いたのはこの人

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Written by 池田 園子(いけだ そのこ)

岡山県出身。中央大学法学部卒業後、楽天、リアルワールドを経てフリー編集者/ライターに。関心のあるテーマは女性の生き方や働き方、性、日本の家族制度など。結婚・離婚を一度経験。11月14日に『はたらく人の結婚しない生き方』を発売。 写真撮影ご協力:青山エリュシオンハウス 撮影者:福谷 真理子