あなたの「探しもの」は何ですか? 疲れたときは…心をじんわり温めてくれる不思議な物語『コンビニたそがれ堂』がおススメ!

2015.06.18

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何かとあわただしく、悲しい事件が多い世の中ですが、Googirl読者の皆様は、お元気にしていらっしゃいますか? 今回は心がどうしようもなく疲れたときに読んでほしい、誰もが経験する、悲しみや痛み・切なさを優しく包み、希望へと変えてくれる、とても優しい物語をご紹介したいと思います。
駅前商店街のはずれ、赤い鳥居が並んでいるあたりに、夕暮れになるとあらわれる不思議なコンビニ「たそがれ堂」を舞台にした『コンビニたそがれ堂』(村山早紀/ポプラ堂)という物語です。そのコンビニでは、この世で売っている全てのものが並んでいて、この世には売っていないはずのものまでがあるのだそうです。大事な探しものがある人は、必ずここで見つけられるといいます。さあ、日々一体どんな人が「たそがれ堂」の扉をくぐるのでしょうか?


『コンビニたそがれ堂』(村山早紀/ポプラ文庫)

コンビニ「たそがれ堂」は、誰もが入れるわけではありません。大事な探しものがある人だけが、「たそがれ堂」を見つけられます。ドアをあけて中に入ると、ぐつぐつ煮えているおでんと、作りたてのお稲荷さんの甘い匂いがして、レジの中では長い銀色の髪に、金の瞳のお兄さんがにっこりと笑って出迎えてくれます。
ここを訪れる人は、失くしても「ま、いいか~」で済ませられない、痛みや切ない思いを抱えた人ばかりです。
ラジオ局でアナウンサーをしているものの言葉のむなしさを感じ、30歳を目前にして田舎へ帰ったほうがいいのか悩む女性や、重い病気を抱えた猫が、一緒に暮らしてきた家族と最後に一度きり人間の言葉でお話したいと“人間になれるキャンディ”を求めて「たそがれ堂」を訪れます。

あなたの探しものは何ですか?

皆さんの中にも、大事な探し物がある方はいらっしゃるかと思います。 
このコンビニを訪れた人は、“物”というよりも、物にこめられた“想い”をとても大切にしていました。大切だけど失くしてしまって、もう一度手に入れたいものがある……。もう会えないのだけれど、どうしても伝えたい想いがある……。そんな人々のために、神様がちょっとだけ微笑んで、不思議な奇跡を起こしてくれたように思えるお話でした。
実はこの本の元本は児童書なのですが、たぶんたくさんの「さよなら」を経験した大人のほうが泣けてしまうかもしれません。少しだけ悲しいけれど、本を閉じるときはどこかホッとするとても温かい物語でもあります。よかったら読んでみてくださいね。

2015.06.18

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記事を書いたのはこの人

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Written by さゆ

87年生まれのフリーライター。 本とワンコとカフェが大好きです。 いつでもアワアワしています。 ツイッター:@sayulog  写真撮影ご協力:青山エリュシオンハウス 撮影者:福谷 真理子