生命力とパワーにあふれている! 第152回直木賞受賞作『サラバ!』がとにかくすごい!

2015.02.11

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Googirlをご覧の皆さんは、先日第152回直木賞を受賞した、西加奈子さんの『サラバ!』(上下巻/小学館)はお読みになりましたか? 『サラバ!』は、2015年本屋大賞にもノミネートされているのですが、とにかくパワーと生命力にあふれていて、度肝を抜かれる内容なのです! 筆者は読後、身体中に力がみなぎり、これからも強く生きていけるような気がしてしまったほどです。
イラン→大阪→エジプト……と舞台を移しながら、徐々に地に堕ちていく男性の人生が描かれた『サラバ!』。一体、どんなお話なのでしょうか?


『サラバ!』(西加奈子/上下巻/小学館)

この物語の主人公は、1977年、父の海外赴任先であるイランで生まれた「圷歩(あくつあゆむ)」という少年です。
「この世界に左足から登場した」可愛らしい顔をしている男の子で、この世界に対してまず感じるのが「恐怖」だという、争いごとを好まない性格で、ケンカなども黙り込んでやりすごすタイプです……。歩の家族は、イラン→大阪→エジプトと移り住んでいくのですが、この家族「ホンマになんやねん!」と突っ込みをいれたくなるほど、強烈な面々がそろっているのですね。
特にすごいのが、美人な母には似ず、痩せているため、学校で「ご神木」という不名誉なあだ名をつけられたお姉さんです。弟の「歩(あゆむ)」とは逆で、この世界に激しい怒りを感じており、親や周囲を困らし続ける、強烈な「かまってちゃんアピール」を続けます……。

『サラバ!』に込められた意味とは?

ところで皆さんは、長い人生を行きて行く上で、どこかで心の支えになるような「信じるもの」は持っていますか?
この物語では、歩の人生が徐々に堕ちていく大学卒業後から30代後半までの間に、その「信じるもの」の存在をものすご~く考えさせられる構成になっています。
友人とは距離を置かざるを得なくなり、恋人には裏切られ、強烈な家族に囲まれ、行き場がなくなった歩はある人物のアドバイスで自分だけの「信じるもの」を見つけるために日本を出て行くのですが、歩がちゃんと「信じるもの」を見つけた時の感動は、それはもう、読者の胸を大きく激しく打ちます……! 『サラバ!』という言葉の意味も、「信じるもの」に関係しているように思います。筆者も他人ではなく、自分だけの「信じるもの」の存在を探したいと感じました。
堕ちていく男性のお話なのに、どこかユニークで、細胞から覚醒させられるような活力に満ちあふれたストーリーでもあります! ぜひ、読んでみて下さいね。

2015.02.11

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記事を書いたのはこの人

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Written by さゆ

87年生まれのフリーライター。 本とワンコとカフェが大好きです。 いつでもアワアワしています。 ツイッター:@sayulog  写真撮影ご協力:青山エリュシオンハウス 撮影者:福谷 真理子