恋も仕事も同人誌も! 29歳独身、「社史編纂室」勤務の女性が決断したこととは!? <『星間商事株式会社社史編纂室』(三浦しをん/ちくま文庫)>

2014.08.26

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Googirl読者の皆さんは、作家の「三浦しをん」さんをご存知ですか? 2006年、『まほろ駅前多田便利軒』で直木賞を受賞され、2012年に『船を編む』で本屋大賞を受賞、映像化されている小説もあるので、ご存知の方は多いかもしれません。影があるとても重い作品から、ちょっと変わっているけれど、とても自由で優しい登場人物たちが繰り広げるコメディまで、幅広い作品を描かれる作家さんです!



今回ご紹介したい小説は『星間商事株式会社社史編纂室』という、社史編纂室勤務の、29歳の同人誌製作が趣味の(……いわゆる腐女子の)女性が、仕事や友情や恋愛で窮地に立たされ、もがきながらも自分なりの答えを見つけ出すまでが描かれているお話です。
「わたしはわたしの道を行く!」と、何かを決断したい時にぜひ読んで頂きたい、涙と笑いのエンターテインメント小説です。それでは少しだけ、内容をお話したいと思います。

川田幸代、29歳。彼氏あり(たぶん)。会社の秘密を知ってしまいました……!

この物語の主人公は、川田幸代(さちよ)、29歳、独身女性です。フラッと旅行に出てしまっては突然帰ってくるという生活を繰り返す、フリーターの彼氏と暮らし、会社の社史を編纂する「社史編纂室」というゆるゆるの職場でそれなりに働き、空いた時間は日々「同人誌」製作に当てる……という生活を送っていたのですが、幸代はある日突然、会社の隠され続けていた過去に気が付いてしまうのです!
気づいてしまったんだからしょうがない! 正確な「社史」を作ろう! と、社史編纂室の一癖も二癖もある面々は、編纂室でなぜか「社史」とともに、「同人誌」も同時作成することにして、外部からの攻撃にも負けることなく、仕事に少しだけ前向きに取り組み始めます。
またそれだけではなく、幸代の同人誌仲間が結婚することになり、友情にも暗雲が立ち込めたり、そして良い人なんだけど、先が見えない彼氏との関係に悩んだり……など、幸代の日常すべてが絡まり合って、怒涛の物語が進行していきます!
会社の隠された秘密が気になるのはもちろんのこと、妙齢女子の友情って何なのさ? ということや、結婚観や恋愛観にも深く触れられていて、思わずうなってしまうストーリーでした。
幸代の最後の決断には、思わず涙がホロリと出てしまいます。

「わたしはわたしでいいや! 明日からまた頑張ろう~!」と、とても自由な気持ちになれるお話です。文章を書くことが好きな方や、結婚や恋愛に悩む女性に読んで頂きたいです。
良かったらぜひ、チェックしてみて下さいね!

2014.08.26

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記事を書いたのはこの人

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Written by さゆ

87年生まれのフリーライター。 本とワンコとカフェが大好きです。 いつでもアワアワしています。 ツイッター:@sayulog  写真撮影ご協力:青山エリュシオンハウス 撮影者:福谷 真理子