女子に必須のあのアイテムって実は怖い!?良質な本物の「怪談」の世界をのぞいてみませんか?<『かがみのなか』(恩田陸 作/樋口佳絵 絵/岩崎書店)>

2014.08.21

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女子に必須のアイテムで、毎日必ず見る物の一つに「かがみ」があると思います。私たちは、自分で自分の顔を見ることができないので、家でも街でも、隙あらばメイクや髪型が崩れていないか、服装は乱れていないか……などを、ついチェックしてしまいますよね。
でもその「かがみ」が、実はとっても怖いアイテムの一つだなんて、考えてみたことはありますか?「かがみ」が時々、自分ではない別の物を映し出してしまうこともあるなんて、想像してみたことはありますか?
今回は、「子どもたちに、もっと怖いお話を」と日本を代表する怪談文芸や怪奇幻想文学のプロフェッショナルたちが執筆している、岩崎書店の「怪談えほん」シリーズの新刊である『かがみのなか』(恩田陸 作/樋口佳絵 絵/岩崎書店)という絵本をご紹介したいと思います。


恩田陸と樋口佳絵が描く「かがみ」の中の向こうの世界って?

家でも街でも、見ない日はない「かがみ」。こちらの絵本は、その「かがみ」と少女をめぐるふしぎなお話が描かれています。
ある少女は、家の中でも学校でも、かがみを見上げます。そこに映っているのは、やはり何の変哲もない自分自身や友達で、特に変わったことはありません。鏡に自分自身を映して、右手を出せば、鏡の中の自分は左手を出しますし、逆もまた然り、です。だけど、かがみは時々間違ってしまうことがあって、時々ウソをついてしまったりすることもあるようで……!?
皆さんは、かがみからヌッと手が出てきて、ひきずられてしまうことを想像してみたことはありますか?かがみの中に映るはずのものが、映っていない体験をしたことはありますか?

本書は、そんな「かがみ」に潜む恐怖を、まるで「詩」のような見事な文章と、足元がゾワゾワっとする「怖い絵」で見事に描ききっています。少女の目が、左右微妙に違っている所や、飛び交っている蝶々は、一度見ると忘れることができません。
明日からあなたも絶対かがみを見るのが怖くなる、この夏絶対読んでほしい「身近にひそむ恐怖」を描いた一冊です。筆者はこの本を読んだ後、夜中にトイレに起きてかがみを見ると、蝶々を口に入れた女の子が微笑んでいたらどうしよう……と妄想が爆発し、震えが止まりませんでした。

あ!ちなみに「怪談えほん」シリーズは、子どもはもちろん、大人が読んでもトラウマレベルの絵本ばかり出版されているので、読まれる際は、大きく深呼吸をして、十分に覚悟してお読みくださいね。

2014.08.21

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Written by さゆ

87年生まれのフリーライター。 本とワンコとカフェが大好きです。 いつでもアワアワしています。 ツイッター:@sayulog  写真撮影ご協力:青山エリュシオンハウス 撮影者:福谷 真理子