「校閲」って何? 毒舌女子のワーキングエンタメが登場!! ~『校閲ガール』(宮木あや子/KADOKAWA/メディアファクトリー)より~

2014.07.14

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「女子におススメの作家は誰ですか?」と聞かれたら、筆者はまず、宮木あや子さんをおススメしたいです。「女による女のためのR-18文学賞」という賞で大賞と読者賞をダブル受賞してデビューされた作家さんで、美しくも切ない、官能的な雰囲気に満ち溢れた小説から、お腹を抱えて笑えるエンタメ、また葬儀屋を舞台にした物語まで、女子が楽しめる勢いのある小説をたくさん出版されています。
今回ご紹介したいのは、そんな宮木さんの著作である、ある出版社で「校閲」というお仕事をする女性の物語です。
本当はファッション誌の編集者になりたかった「河野悦子(こうのえつこ)」という24歳の女子の周りでは、担当する原稿や周囲でたびたびちょっとした事件が巻き起こります。では少しだけ、毒舌女子のお仕事エンタメをご紹介したいと思います。


『校閲ガール』(宮木あや子/KADOKAWA/メディアファクトリー)

ところで皆さん、「校閲」というお仕事はご存知ですか? 校閲とは、「文書や原稿などの誤りや不備な点を調べ、検討し、訂正したり校正したりすること」です(本文より)。
筆者は大学卒業後、あるメーカーで「校正」という、文意を変えず、誤字脱字を直す仕事をしていたのですが、それと少し似ているかもしれません。校閲の方は、元原稿に書いてある内容の事実関係まで確認する必要があるのですが。どちらにしても、目立たないけれど原稿に絶対必要である「縁の下の力持ち」である仕事です。
本書は、本当はファッション誌の編集者になりたかったのに、なぜか校閲の部署に配属された主人公の「悦子」が巻きこまれる事件の数々が描かれています。
大御所「エロミス」(エロミステリー)作家である、本郷大作の原稿の「移動時間の誤差」に隠された秘密や、憧れ続けていたブランドのオーナーが書くエッセイに抱く違和感……など、校閲のお仕事を通して、悦子は人間関係が絡まる謎を解いたり、頭を打って成長したりしていきます。

また、とにかく彼女が毒舌で、相手が誰であっても物怖じしない性格で、人並み外れたファッションオタクであることや、周りの人物も、乙女男子やテキトーな編集者、別に働く必要がないお嬢様受付嬢など、たくさんの変わり者が登場するのは面白いです!
特に、本が好きな人は、出版の世界を垣間見ることができ、また豆知識なども得ることができるので、楽しめるかと思います。
今の仕事を精一杯楽しもう! と思える、読んで元気になる、最強女子のお仕事小説です。
良かったらぜひ、読んでみて下さいね。

2014.07.14

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記事を書いたのはこの人

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Written by さゆ

87年生まれのフリーライター。 本とワンコとカフェが大好きです。 いつでもアワアワしています。 ツイッター:@sayulog  写真撮影ご協力:青山エリュシオンハウス 撮影者:福谷 真理子