パンチラを喜ぶ感情が芽生えたのは実は最近!~パンツの歴史を知っていますか?~ (『パンツが見える。羞恥心の現代史』<井上章一/朝日選書>より)

2014.06.22

  • Twitterでシェア
  • f Facebookでシェア
  • B!はてなブックマーク

Googirl読者のみなさん、突然ですが日本人女性は1930年頃までパンツをはく習慣がなかったことをご存知ですか?(※この記事で言うパンツは「ズボン」ではなく、下着のことです) 着物の下は腰巻などでおおうだけであった時代は長く、パンツが本格的に普及したのは20世紀の中頃だと言われています。
洋装の普及と共にパンツも広まっていくのですが、現代女性がパンツをはくようになるまでには、大変な歴史があったようです。


今回は『パンツが見える。羞恥心の現代史』という本を参考に、パンツの歴史を少しだけ見ていきたいと思います。

白木屋ズロース伝説って?

「白木屋ズロース伝説」ってご存知ですか? 実はこれ、日本女性の間でパンツが普及したきっかけとされている伝説なのです。1932年、白木屋百貨店で火災が起き、パンツをはいていなかったばかりに、高層階から地上へ脱出する際、多くの女店員が、裾が乱れて野次馬たちに下から覗かれるのを恥じて、墜落死したと言われています。それ以降、女性はパンツをはくようになった……とされているのですが、著者はこの伝説に反論します。
その理由は、つい50年ほど昔まで、パンツごときでときくめく男はいなかったからです。なぜなら、和服の女性はパンツをはいておらず、ふとしたはずみでチラリと見えてしまうのはパンツなんかじゃなかったから……! 「陰部を見られても、場合によっては仕方ない」、驚くことにこれが戦前の女性の感覚であったようです。

隠されたから見たい!

カラーパンツは元々水商売の女性向けの商品だったと言います。女性がパンチラを恥ずかしがるようになったのは1950年代以降の話で、この頃から「ズロース」と呼ばれるデカパンが姿を消し、「パンティ」と上品に呼ばれるような、布面積の小さなパンツが、下着メーカーの大量生産の波と宣伝によって、一般女性の手にも行き渡るようになりました。
ですが、「かつては娼婦がはくものだとされていた、性的意味合いを持つパンティをはいていることを知られたくない……」という心理から、女性たちは脚さばきを上品にし、スカートの下を見せたがらないようになったのだとか。
男たちのパンチラに対する欲望が開花したのもそのためだと言われています。

いかがでしたか? 「日本女性とパンツ」の間には、かなり深い歴史があるようです。ただ一つ気になったのは、「パンツがないなら生理のときはどうしていたのか?」ということ。それはまた調べて、記事にしたいと思います。表紙に似合わず、パンツを徹底的に考察した素晴らしい羞恥心の現代史でした。

2014.06.22

  • Twitterでシェア
  • f Facebookでシェア
  • B!はてなブックマーク

記事を書いたのはこの人

Avatar photo

Written by さゆ

87年生まれのフリーライター。 本とワンコとカフェが大好きです。 いつでもアワアワしています。 ツイッター:@sayulog  写真撮影ご協力:青山エリュシオンハウス 撮影者:福谷 真理子