イケメンマーケティング男子Vol.3 永里元気さん

20~30代のマーケティング男子を取り上げる本連載の第3回目は、女性ファッションECショップ「夢展望」を運営する夢展望株式会社に勤める永里元気さんが登場。メンズアパレル販売員経験後、10~20代女性に支持されるファッションアイテムのPR・マーケティングを担当するようになって早7年。そんな永里さんのお仕事について聞いてきました。

「自分の企画が世の中に広まり、夢展望を多くの人に知ってもらえることがやり甲斐」


渋谷にあるプレスルームで出迎えてくれた永里元気さん…爽やかなステキ男子です

「ボレロって何? 音楽のこと?」から始まった

夢展望に入社されたきっかけからお聞きしてもよいでしょうか。

専門学校を卒業後、3~4年ほどメンズ服の販売員として働いていましたが、メンズよりもレディースのほうが息が長いブランドが多いなと感じていたのを機に、2007年に転職してきたんです。もともと学生時代にプログラミングを勉強していたこともあり、アパレルという同業界であっても販売員とは毛色の違うECショップ運営に抵抗はありませんでした。

当時の夢展望も現在のような勢いがあったのでしょうか。

僕が入社してしばらくして、右肩上がりに業績を伸ばしていきました。ちょうど大きく成長を遂げる時期にジョインできたと思っています。当時もモバイルでの販売に注力していたことが功を奏し、スーツが大ヒットしていましたね。イメージの変わらない定番モノは安定して売れ続けるんだなと感じました。

ちなみに、それまでレディースは未経験だったわけですよね。

はい。最初は“用語”がわからなくて苦労しました。たとえば「“ボレロ”って何? 音楽?」みたいなレベル(笑)。本当に疎かったので、商品名を見ながらその都度覚えたり、女性誌を読んだりしてインプットしていました。会社を訪れるモデルさんやお客さまとどうコミュニケーションを図ればよいのか考えたり、若い女性たちの言葉になかなかついていけなかったりと、自分の中でいろいろと模索する時期でした。今はもう7年目になるのでかなり慣れましたけどね。

毎月出される新作アイテムは約300点! 他社を圧倒する商品数も夢展望の特徴

現在、永里さんはどのようなお仕事をされていますか。

広報とTwitterやFacebookなどのソーシャルメディアの運用・マーケティング、キャンペーンの企画などを担当しています。Twitterでは1日20~30くらいツイートしていて、夢展望を好きになってもらうためには、どのような情報を発信すればいいのか、いろいろ試しているところです。今のところ、お客さまはセール情報も求めているけれど、「ふなっしー」のような話題のおもしろネタも楽しんでくれているようです。

記者さんとのつながりで助けられた経験

ソーシャルメディア運用では、お客さまからの質問応対も度々議論になりますが、どのようなことを心がけていますか。

サポートチームのメンバーとコミュニケーションを図りながら、適切な返答をするよう心がけています。お客さまが本当に求めている答えは何なのか、それを導き出した上できちんと回答したいですね。実は質問以外でも、夢展望についてツイートしてくださるお客さまがいたら、リプライを返すようにしています。「●●がかわいかったー!」みたいなツイートには「ありがとうございます!」みたいな。

夢展望愛用女子にとっては嬉しいですね。続いて、企画立案についてもお聞きしたいです。直近で実施された企画を教えてください。

10~20代の女性に人気の4人組女性グループ「Ready Candy Camp」さんと2月5日~14日まで期間限定でコラボさせていただき、「夢展望×Ready Candy Camp 新曲リリース記念バレンタインコーデ対決!!」を実施しました。バレンタインデーに向けてReady Candy Campの皆さんに弊社の商品を使って「彼をきゅんっとさせるセツナバレンタインコーデ」をテーマにコーディネートを考えていただき、Twitterでお客さまに投票してもらうというものでした。最も票数を集めたコーデに投票してくださったお客さまの中から抽選で1名様に、1位のコーデを一式プレゼントさせていただきました。

メディアでも話題になりそうな施策ですね。マーケティング・PR視点はどのようにして身につけていったのですか。

昔、ある施策をしなくてはならないとき、本当に何をどうすればいいか全然わからなくて、とある記者さんに相談したんです。すると「社長を出せばいいのでは?」とアドバイスをもらいました。そこで、弊社社長を前面に出した懇親会を開催したところ、それが成功して主要ビジネス誌や有力なWebニュースサイトに取り上げられたんです。また、mixiニュースにも取り上げられた後は、テレビの取材が決まり、結果的に大成功でした。自分が企画立案したものが世の中に紹介されて、多くの人に夢展望を知ってもらえること、友達や親など自分に近しい人たちに第三者の視点で自分の仕事を見てもらえることもすごく嬉しかったですし、やり甲斐になるなと感じた経験でしたね。

カラフルな靴たちに囲まれて…1つのデザインでも約12~16色と豊富にカラー展開される

スピード! スピード! 企画から販売までリアル店舗の3分の1の期間で提供

その記者さんのアドバイスが大きかったですね。ちなみに記者さんとはどこで出会ったのでしょうか。

広報ばかりが集まる勉強会や広報と記者さんがつながる勉強会で出会いました。今でもそうした勉強会に週1くらいで顔を出しています。さまざまな企業に勤める若手広報が集まった「若担会」(若手広報担当者の会)にも参加していて、広報同士で横のつながりを活かして情報交換をしています。とくにITベンチャーの広報って、1~2人で業務を回しているところが多いんです。これでいいのかな…と不安に感じることもあるからこそ、同業種でライバル同士であっても皆で助け合う素晴らしい風土があります。記者さんを紹介し合ったり、「●●媒体の担当記者さんが変わったんだって」みたいな情報を共有し合ったり。

ここからはレディースアパレルについても少しお聞きしたいです。なかなかこのような機会はないので…。夢展望さんでは毎月300点もの新作が発売されるとお聞きしたのですが、「つまり1日に約10着ってこと?」とびっくりしました。

企画から販売まで3か月ほどかかる実店舗と違い、ECショップでは1か月で商品を展開できるんです。弊社で新商品のサンプルを作るときの流れを簡単にご説明しますね。まず、本社(大阪府)に勤務する企画部員と中国の工場担当者がテレビ電話で打ち合わせをします。当日のうちに、中国の工場でサンプルが完成します。その3日後にはサンプルが日本に到着するんです。それが商品として世に出せるものであれば早速撮影・サイト掲載し、それから注文を随時受け付けていくんです。

なるほど。ECサイトに「予約販売」と書かれてるアレですね。

そうです。お客さまからの注文を受けている間に、中国の工場で生産が次々と進んでいくんです。

また、気になっていたのが豊富なカラー展開。御社に限らず「この色って売れるの?」というような奇抜な色が展開されていることも多いですが、すべて同数作られているってことはないですよね。

さまざまなカラーを出すことで種類を豊富に取り揃えること、カラフルだからこそ写真をキレイに見せられることといった目的があるんです。全色に対し全身のコーディネートを作って、カタログのように見せるのが特徴です。さまざまなバリエーションを見せることが大事なので。それもあるのか、最近ではお客さまの中に「ファッション誌を買わなくなって、夢展望のサイトを見てコーデの参考にしている」という方が増えています。確かに一番売れている商品も含め、全身コーデが楽しめるわけですから、どのようなアイテムが流行っているのかも参考にしてもらえるんでしょう。夢展望のサイト自体がファッションに関するメディアのような位置づけになっているようです。

最後に、今後の展開を教えてください。

3月からぽっちゃり系女性向けのブランドを展開するほか、4月からは30代女性向けに品質やデザインにこだわったセレクトショップタイプの新ブランド、小学生向けのブランドを続々と展開していく予定です。これまでにない新しい夢展望も見ていただけると嬉しいです。

永里 元気(ながさと もとき)
83年生まれのマーケティング・広報男子。夢展望株式会社勤務。

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2014.02.20

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記事を書いたのはこの人

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Written by 池田 園子(いけだ そのこ)

岡山県出身。中央大学法学部卒業後、楽天、リアルワールドを経てフリー編集者/ライターに。関心のあるテーマは女性の生き方や働き方、性、日本の家族制度など。結婚・離婚を一度経験。11月14日に『はたらく人の結婚しない生き方』を発売。 写真撮影ご協力:青山エリュシオンハウス 撮影者:福谷 真理子