イケメンマーケティング男子Vol.1 砂流恵介さん

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2013.12.21.Sat

20~30代の若手マーケティング担当男子を取り上げる新企画がスタート! 記念すべき第1回目は日本エイサー(acer)に勤め、マーケティング系のイベントなどに多数出演する砂流恵介さん。自ら「お金がないなら頭を使う」とする戦略は「ゲリラ戦術」とも呼ばれ、NAVERまとめでも話題に。そんな砂流さんにお仕事についてお話を聞いてきました。

笑顔が爽やかな砂流恵介さん(30歳)

いまはacerでどんなお仕事をしていますか。

広報と宣伝を担当しています。メディアへの露出を増やしたり、外部の方と企画を作ったり、カタログを作ったりもしています。

入社当時からいまのようなお仕事をしていたんですか。

いえ。マーケティングの仕事なんて、したことがなかったです。2007年にacerに入社した当初は、店舗回りの営業職でした。営業で関東圏内の店舗を行き来するなか、長い移動時間を有効活用したいなと思い、店舗に寄るついでにいろんなメディアさんに新商品を持って、紹介をしに行くようになったんです。当時はメディアキャラバンという言葉も知らなくて、純粋に営業のついでだし、時間もあるしという気持ちで動いていましたね。それから2ヶ月くらいした頃、突然マーケティングの部署に異動することになりました。

マーケティング未経験者が、いきなりマーケティングの部署へ(笑)。

そうなんです(笑)。しかも前任者がやめたところへ僕が入ったので、引き継ぎも何もありませんでしたし、そもそもマーケティングのマの字もわからない。PowerPointを使うのすら初体験でしたね。でも、当然いろんな業務をすぐにでも回さないといけないわけで、カタログ作りは外部のパートナーさんに、PR施策実施やプレスリリース作成は外部のPR会社さんに、イチから教えてもらいながら勉強していきました。周りは年上の方ばかりで、知らないことはすべて教えてもらえるありがたい環境が整っていたと思います。

そんなマーケター初心者が、いまでは「ゲリラ戦術がヤバい」と騒がれるまでに成長されたわけですよね。今年ネットで話題になったロケットニュース24の「8日間並んで買ったアップル福袋にガッカリしていたらAcerがMacBook Air似の最新ウルトラブックをくれたでござる」も相当バズっていましたよね。

2013年1月に実施したものですね。お正月の帰省中にFacebookで、ロケットニュース24の別の記事を見たことがきっかけでした。記者の方がAppleの福袋「ラッキーバッグ2013」を買うために並んでいて1番最初に手に入れたものの、福袋にはMacBook AirではなくiPod nanoが入っていてガッカリしているという記事でした。昨年は1番に福袋を手に入れるとMacBook Airがもらえるという噂が広まっていたんですよね。それを見て、acerにMacBook Airに似た製品(Aspire S7-191)があるので、ぜひお渡ししたいなと思ったんです。

どうやって調整したんですか。

仕事始めのタイミングで社内に「ロケットニュース24編集部にAspire S7-191を渡しに行きたい」と共有し、OKをもらったタイミングで編集部に連絡しました。そのときに「直接お渡ししたい」と、僕が編集部におじゃまする形にしたのがポイントでした。似ているパソコンを単にプレゼントするだけではなく、acerのタッチペンやコートなどを入れた、オリジナル福袋も一緒に渡したかったので。そうやって“イジってもらえる小ネタ”を満載にして、あらかじめストーリーをきちんと作っておいたことで、編集部の方も「記事にできる!」と感じてくれたのだと思います。

“ろくろ”じゃなくて楕円形!?

スゴい。こういう遊びゴコロを持った企画はどうすれば生まれるんですか。

最近いろいろと考えていたのですが「アキバ時代」に遡ると思います。大学卒業後、アキバのパソコンショップに入社して、店長代理を務めていた時期がありました。アキバには2店舗あって、僕は本店ではないほうの新しい店舗にいて、そこの売上を伸ばすことが急務で。そこで始めたのがタイムセールでした。通常、タイムセールというと、適当なものを売っちゃうことが多いのですが、僕はバイトの子に「好きな商品でタイムセールをして」と教え込みました。お客さんに「この店はタイムセールでいいものを売っている」と刷り込みたかったんです。12月の本番に向けて、3ヶ月前から毎週土日にタイムセールを始めて、徐々に人が集まるようになり、手応えを感じていました。

本番の12月はどんな仕掛けをしたんですか。

2006年12月24日に有馬記念でディープインパクトの引退レースがありました。アキバを歩いているおじさんたちも、有馬記念が気になるだろうなと思い、外にテレビを置いて有馬記念の放送を流したんです。まずはマイクで「ディープインパクトの引退レース、見ていきませんか?」と客寄せをしました。人がどんどん寄ってきて、さらに列が列を呼ぶようになりました。そのレースが終わった瞬間にタイムセールを仕掛け、通常3,980円だったSDカードを1,980円でタイムセールで売り出したんです。ほかの店では真似できない価格だったこともあって、とにかく売れに売れて、ますます人が並んで……とスゴいことになりました。後で「安く売りすぎでしょ!」と怒られましたが(笑)、結果的に売上は上がり、1日だけ本店に売上が勝ったんです。正攻法で攻めて普通に売上の立つ本店に対し、僕らは奇策で攻めるしかなかったからこそ、貴重な経験ができたのだと思います。アキバのあのお店だから許されていたことだとも感じますけど(笑)。あのアキバ時代がいまの僕の原点でした。

週末のうち1日はお気に入りのカフェで読書していることが多いそう

面白いですね。確かに砂流さんが過去に仕掛けてきたPRを見ていると、「奇策」感が強いです。そのアイデアはどう生まれているんでしょうか。

うーん、僕がアイデアを生み出しているわけじゃないんです。外部のパートナーの方が「こんなのやってみては?」と提案してくださったら、僕はそれに乗っかってみるだけなので。たとえばニコニコ超会議で流すacerの動画を作る話が出たとき、単に動画を作るだけではなく、せっかくなら面白いものを作りたいなと思っていたんです。そんなときにacerのロゴを逆さまの「Jace」にして、動画内でJaceを推し続けるのはどうかという案をいただいて。会社的にはあり得ないですが、実現したらかなり面白い企画ですよね。僕はどうしても挑戦したかったので、クビが飛ぶかもと思いながらも会社に提案し、調整に調整を重ねて、3週間ほどで動画を完成させました。公式サイトには載せず、ニコニコ動画内でしか見られないようにするなど、いくつかの制約のなかでなんとかやり遂げた形です。僕の仕事は外からいただいたユニークなアイデアを、社内の人間を説得し、どう実行していくか。この部分だけだと思っています。

なるほど。アイデアや企画の「師匠」みたいな方はいるんですか。

はい、僕が師匠だと思って学ばせていただいているのは、ネットニュース編集者の中川淳一郎さんです。『ウェブはバカと暇人のもの』を読んで中川さんにお会いしたいと思っていた頃、たまたま紹介を受けてお話させていただく機会があり、その後一緒に仕事をさせていただいたこともあります。中川さんから学びたくて、中川さんが出演されるイベントすべてに参加していた時期もあったくらいです(笑)。その後、中川さんの師匠でもある、嶋浩一郎さんにお会いすることがあり、師匠の師匠ということで、また尊敬できる方に出会えたなと思っていました。それからは嶋さんのゼミに通うようになり、PRや編集について学ぶようになりましたね。

会いたいと思った人には会いに行って、実際に仕事にもつながったりしているんですね。行動力があるって言われませんか。

そうですね。でも、ある意味ノリが軽い(笑)というのでしょうか。チャンスに乗っかる、というのが一番大きいと思いますね。「~しなきゃいけない」などと決めていて、まったくブレない自分でいたとしたら、いまみたいな状況ではなかったと思います。誘われて面白そうだと思ったら、基本的に断りませんし、まずは巻き込まれてみるんです。それは、自分から積極的に乗っかっていくという、僕なりの仕事のやり方にも通じています。たとえば、弊社では製品情報を一番よく知っているのはプロダクトマーケティング事業部です。より効果の高いマーケティングをするためには、広報担当者も表面的なことだけでなく、製品のことを深くまで理解しておく必要があります。となると、プロダクトの担当者と連携を作ることは大事なことです。僕はプロダクトマーケティング事業部に足を運ぶようにして、動作検証などを自分から手伝いに行っていました。担当者がやめたときにアシスタント的な仕事をしたり、その後プロダクトマネージャーになったりもしました。情報があるところに自ら進んで情報を取りに行く――これはマーケターにとって大事な考え方だと思います。

最後に、これからマーケティング男子を目指す人にアドバイスをお願いします。

僕はもともと販売業をやってて、acerに入った頃はマーケティングのド素人でした。そんな僕でも6年でいろんなことを学びながら実践し、人前でお話する機会もいただけるようになりました。周りの方から教わったこと、自分で勉強したことを素直に実践していると、実績を残せるようになります。そのためにも、チャンスが降ってきたらまずは乗っかってみてください。きっといままでとは変わるはずです。「やったことがない」というのは言い訳にならないので、まずは行動してみることから始めてみるのがいいと思いますね。

今回のイケメンマーケティング男子

砂流 恵介(すながれ けいすけ)
83年生まれのマーケティング男子。日本エイサー勤務。12月23日にB&B(下北沢)で開催されるイベントもチェック。

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記事を書いたのはこの人

Written by

池田 園子(いけだ そのこ)

フリーランスの企画ライター。86年生まれ。
楽天でポータルサイト運営、ITベンチャーでメディア運営を経て独立。主な執筆ジャンルは、恋愛、Web、ガジェット、新しいモノ、働き方、イケメンなど。
現在はGoogirlのほか、R25、ITmedia、Impress、J-cast、ウレぴあ、gooなど、10媒体以上に執筆中。
著書に『フリーランスで食っていきたい!』がある。
ブログ『Sonoko Blog(http://sonoko0511.jp/)』でも発信中!
  写真撮影ご協力:青山エリュシオンハウス 撮影者:福谷 真理子