怖い、人間関係ドロドロしてそう…はウソだった?!女子校のリアルを書いた『女子校ルール』に迫る!

ずっと共学で育ってきた女子にとって、女子校にはどんなイメージがありますか?
一般的には「人間関係が複雑、ドロドロ」といった怖いものから、「育ちがいい」「かわいいのに恋愛経験が少ない」といったおしとやかなものまで、さまざまなイメージがあるようです。それらはあくまでも想像の域にすぎません。「リアルな女子校」を覗いてみませんか。


4月に発売された『女子校ルール』(中経出版)を読んで、私は女子校に行っておけば人生変わったかも、と心から思いました。全60個のルールには「面白い人が偉い」「1人で行動しても浮かない」「基本、スッピン」「中身はオッサン」「重い荷物を難なく運べる強靭な肉体に成長する」など、いいことばかり!「子どもが生まれたら女子校に行かせたい」とまで考えています。

そのほかにも女子校出身者の生態や日々の生活、卒業後の生活など、さまざまな「女子校コンテンツ」にあふれた1冊。女子校から学べることがいっぱいです。
著者の女子校ルール研究会に話を聞いてみました。

実際、女子校ってどんなところなのでしょうか?

意外だと思われるかも知れませんが、女子校には大抵「ヒエラルキー」がありません。のびのびと好き放題に生きられる場所なんです。学校によってはあるかも知れませんが、私が取材した大勢の女子校出身者たちは、皆共通してそう話していました。

へぇ、いいですね! 私は共学でしたが、わかりやすいヒエラルキーが存在しているのを感じていました。

そうですね。共学では異性の目があるので、派手系の子と地味系の子は別のグループになり、派手系の子がクラスのヒエラルキーのトップに位置します。異性の目を気にして“同じレベル”でない女子とは話さないという現象が起こります。例えば、派手な子にしてみたら、地味な子と話すことで「同類と思われるかも…!」という意識が働くんですね。でも、異性の目がない女子校では、そうする必要がないため、ヒエラルキーは作られません。なので、ギャルも優等生もオタクも腐女子も、タイプの違う人たち同士が、普通に仲良く話をするんです。

ヒエラルキーには、オトコの目が関係していたんですね……!

異性がいないと結果的に、「自分をこう見せなくては」「モテる仕草を意識しないと」「かわいく見せるようにしなきゃ」と思う必要がなくなります。共学は異性の目にがんじがらめになってしまうと思うんです。女子校はそれがない分、自分の好きなことや趣味に没頭できることが多いようです。取材中にある女子校出身者が、「オタク趣味や腐女子趣味は隠すべきことではなく、オープンに認められていた」と話していたのも印象的でした。

でも、異性と関わる機会がないと、卒業してから大変そうですよね。

女子校生活は3年から、長い人で10年以上にも及ぶので、やはり異性は苦手になりやすいです。「異性と接した回数が少ないから苦手」というパターンもあれば、「女子の方が男子より素晴らしい生き物」という考え方も形成されるため、男性をどこか見下してしまうこともあるみたいですね。女子だけで普段の生活や文化祭などの準備もやり、重い荷物を運び……と過ごしていくうちに、「女子だけで何でもできる!」と思うようになって、自立しすぎてしまうんです。
いざ大学で共学に進むと、共学出身の子が、ごく自然に男性を頼っているのを見て、驚く人も少なくないようです。

では、あまり恋愛経験のない女子校出身者は、どうやって恋愛を進めていくのでしょう?

なかなか難しいですよね(笑)。一部の「モテ女子校」や「ギャル女子校」(編集注:多くは女を捨てて「笑い」に走ったり、中身はオッサン的な女子校)の場合は、女子校時代から合コンや文化祭で、男の子と出会って遊ぶ機会も多いので、恋愛テクにも長けている人が多そうですが、そうでない多くの女子校は、どうしても「恋愛テク」のように、こなれたものを使いこなす人は少ないかと思います。

なるほど。でも、私の周りの女子校出身者はそこそこモテてます。何が武器になっているんでしょうね?

女子校出身者は「重い荷物を持ってくれた男性に胸キュン」とか、「体育館裏での告白や文化祭準備など、少女漫画のベタなシーンに憧れる」など、ピュアな乙女心を持っていたりします。そういうピュアさがひとつの武器になるのかも知れません。でも、そういった妄想の中だけで満足しがちなので、「妄想恋愛だけで満足しちゃうので、現実の恋愛の意欲がない(笑)」と話していた女子校出身者もいました。
ちなみに、男子校出身者は、女子校出身の人に会うと安心するそうです。スレてなさ、慣れてなさで近いにおいを感じるのだとか。恋愛に発展するかは別として、「仲間意識を持つ」という感覚らしいですね。

女子校生活で身につくことって何でしょうか?

取材中に「どんな女性とも会話するスキルが身についた」と話していた女子校出身者がいましたね。最初に話した「ヒエラルキーがない」に加えてもうひとつ意外なのが、女子校には「意外といじめがないこと」なんです。もちろん、まったくないわけではないですが、世間でイメージされているほどはありません。
だからといって、「同性の目線があるから私服にも気を使う」、「会社のお局様の扱いも得意。女子校時代の経験で、良くも悪くも女同士での振る舞いに慣れる」という声もあるので、「女子の世界」でのお作法は必要なようです。何年も女子校で生活していると、そのお作法が自然と身についていくのはうらやましいですね。
私個人としては、ずっと共学で生きてきたこともあって、新卒で入った会社でいきなり部署の9割が女性という「女の園」を味わったときには戸惑いました(笑)。

最後に、女子校出身者の女子力を高めるテクを教えていただきたいです。

これは難しいですね(笑)。取材した結果、女子校出身者はそもそも「高い女子力を持つ自分」を求めていない人が多いように感じました。どちらかというと「自立した自分でありたい」「そんな自分が好き」という人が多かったです。女子校時代も「彼氏ができない0」と言いながらも「なんだかんだ女子校生活の今が楽しい!」と満たされていて、決して本気で悩んでいるわけではないんですよね。強いて言うなら、女子校出身者は「女子はライバル!」ではなく、「女子は味方、かわいい女子大好き~」というスタンスの人が多いので、「女子力を高めたい」と思えば、ライバル視や変に嫉妬などせず、素直に真似できるのかも知れません。

▽ 読者へのメッセージ
女子校は通った人にしか魅力が分からない世界です。女子校の人が共学をいいなぁとうらやましがることはあっても、その逆の、共学が女子校をうらやましがることはあまり見たことがないですよね。でも、『女子校ルール』を読めば、女子校ではなかった人でも女子校に行きたくなると思います(笑)。また、女子校出身の人は、当時の思い出を振り返って、ますます女子校愛を深めていただければ幸いです。

▽ 女子校ルール研究会
『女子校ルール』著者。
全国の女子校に存在する「女子校ルール」を収集し、あまねく普及させるべく発足した研究会。
様々な女子校の出身者から構成され、日夜女子校についての調査を行なっている。

2013.06.03

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記事を書いたのはこの人

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Written by 池田 園子(いけだ そのこ)

岡山県出身。中央大学法学部卒業後、楽天、リアルワールドを経てフリー編集者/ライターに。関心のあるテーマは女性の生き方や働き方、性、日本の家族制度など。結婚・離婚を一度経験。11月14日に『はたらく人の結婚しない生き方』を発売。 写真撮影ご協力:青山エリュシオンハウス 撮影者:福谷 真理子