【女子力UPブックレビューVol.1】『オラオラ女子論』で蜷川実花がカッコかわいい生き方を語る
蜷川実花が飛ばしている。監督2作目となる映画「ヘルタースケルター」が動員数130万人、興行収入19億円を突破したといわれている。確実に20億円を超えると予想され大ヒットは確実。
毎週水曜日のレディースデーには女性客の割合が圧倒的に高く、客層全体でも都市部では1:9の割合で女性客なのだとか。今夏女性に最も支持された映画作品なのではないか。
前作「さくらん」のヒットも記憶に新しい。気高さ、優雅さ、美しさ、儚さーーそういったものを具現化した、目に焼き付いて離れない色彩あふれる作品で、世の中を魅了した。
写真家・蜷川実花というだけではなく、映画監督・蜷川実花が台頭した瞬間だった。さてそんな蜷川実花は近年執筆活動も活発に行っている。最新刊『オラオラ女子論』のタイトルが気になって手に取ってみた。
オラオラとあるから、さぞかしオラオラ系(ホストみたいな?)なのかと思いきや、そういう意味ではない。書かれているのは自分の意思を持ってカッコよく生きるという意味でのオラオラ感。「格好いいオンナ論」「キャリアウーマン論」「モテ女論」「母親論」「年上年下の女性論」「年代別女子論」の全6章で構成されている。
一児の母でもあり、働く女性でもあり、ひとりの女でもある蜷川実花。女はいくつもの顔を持っている。それぞれの場所で見せる顔が違う。社会でたくましく生きていくために強がってはいても、誰かの前だけでは弱い自分を見せることもある。涙を流していい場所もある。それが女。
格好いい女論の中で、蜷川実花は「キレイにしないのは女として怠慢」「ファッションって、私にとっては武装の意味もあるけど、自分がこうありたいとか、他人からこう見られたいとかいう願望を映す鏡でもあり自己表現でもある」と語っている。
人はまず見た目でジャッジされる。人は外見ではないというのは綺麗ごとに過ぎない。昔流行った『人は見た目が9割』という本はタイトルごと正しい。
女として生まれてきたのだったら、女であることを楽しんだ方がいい。それが蜷川実花の哲学でもある。「内面を磨くのはあたりまえ」という考え方もユニークだ。「内面を磨きます!」なんて宣言しなくとも、生きていれば人は自然と成長していくものだという。確かに外見は努力次第で変えられるし、一番変えやすいものでもあるといえるのだ。
精神的にも経済的にも自立しろーー母親論の中で蜷川実花は、父・蜷川幸雄から幼い頃から刷り込まれてきた言葉を繰り返している。自立しているからこそ、選択肢は増えるし、自由度も広がっていく。自立しているからこそ、恋愛市場において男性との関わり方も取捨選択できる。「依存する女」の場合、依存しか選択肢はない。
上っ面な話はなかった。カメラを通して目の前のものを客観的に見る習慣のある彼女は、自分自身のことすらも常に一歩引いて客観的に見つめている。遠くから見た彼女の生き様が余すことなく綴られている。決して簡単には真似できない境地にいる女性だけれども、色々なステージでいい女を目指している女子は必読の一冊。