渡辺早織@cinéma 絶対観るべき映画『博士と彼女のセオリー』
こんにちは、あんこは白あん派、渡辺早織(@w_saori)です。
この時期はゴールデングローブ賞やアカデミー賞などで映画界がとても盛り上がりますね。
まだ見たことがなかった映画も、そのニュースをきっかけに興味がわいて観に行けたりもするので、そんな映画との出会いも楽しいです。
そして、今回その中でも一際美しい映画との出会いがありました。
この映画との出会いに衝撃を受けて魅了され、そして一人でも多くの人にこの出会いの感動を味わってほしいと思い、今回はこの作品を紹介させていただくことにしました。
ゴールデングローブ賞で見事主演男優賞、作曲賞を受賞し、アカデミー賞でも最有力候補と言われている映画。
『博士と彼女のセオリー』
です。
これは実話を元に制作された映画で、理論物理学者の立場から現代宇宙論に多大な影響を与えたスティーヴン・ホーキング博士と、その天才を支えた一人の女性ジェーンのお話。
心が震えました。
お話そのものにも、役者の方々のパワーにも。
映画化が実現するために必要な全権利とジェーンとホーキング博士の許可を得るまでには長い年月がかかったそうですが、実際に映画を観たホーキング博士はまるで自分を観ているようだと、主演のエディ・レッドメインを絶賛したそうです。
あらすじ
© UNIVERSAL PICTURES
ふたりの出会いは1963年。スティーヴンがケンブリッジ大学の大学院に在籍している時だった。彼は詩を学ぶジェーンの聡明さに、ジェーンは彼の夢見がちなグレーの瞳とユーモアのセンスに惹かれ、たちまち恋におちる。だが、直後にスティーヴンは運動ニューロン疾患と診断され、余命2年の宣告を受ける。それでも彼と共に生きると決めたジェーンは、力を合わせて病気と闘う道を選択する。
そんなふたりの結婚生活は、残された時間を2年から5年に、5年から10年に、10年から20年に延ばすための絶え間ない努力の日々となる。ジェーンに励まされて研究に打ち込み、学者としてのステイタスを築いていくスティーヴン。心身両面で夫をサポートしながら、ふたりの生き甲斐となる子育てにも奮闘するジェーン。自分たちに与えられた時間がどれほど貴重なものかを知るふたりは、歳月を重ねるごとに増す試練に、強固な愛の力で立ち向かっていく(『博士と彼女のセオリー』より引用)。
リアルを描く美しさ
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まず一つ目のリアルはすごく人間的であるということ。
“人”というものをこんなにもありのままにうつしだせる映画ってそう多くないです。綺麗なところだけではなくて、行き場のない気持ちや上手くいかない時も包み隠さずに描く、そのリアルさに感動します。
「映画のお話だもんね」とは絶対にさせない丁寧さとリアルに完成させるために緻密に計算されたストーリーの展開は、まさに非の打ち所がないと言えます。
二つ目のリアルはエディ・レッドメインの渾身の演技にあります。
ALSの発症により徐々に体の自由がきかなくなる過程を、なんともリアルに段階的に表現していてその演技は目を見張るものがあります。これがまさに主演男優賞を獲得できる役者の演技なのでしょう。
撮影現場ではもちろんストーリーの流れ通りに作られるわけではないのですが、エディが分析し研究したおかげでリアルにALSを段階的に表現することができたのだそうです。
その段階的な演技もそうですが、自由が利かなくなり、伝えられるのは目のうごきやかすかな口の動きだけ。
その限られた中で、思いを伝える表現力とエネルギーに共感せずにはいられないのです。
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最後に、私は、この映画を観て感動したと同時に心にしこりが残る感覚がありました。
でもきっとそれは展開や結末を決してねじまげずにありのままのリアルなのだからこそだろう。
そしてそれがこの映画の面白くて美しいところなのでしょう。
そんなもやもやした感情を見透かしたかのように、エンドロールで流れる音楽はおだやかで観客を包み込みなぐさめてくれるようでした。
すべてにおいて卓越していて、傑作です。
それだけ自分にとっては衝撃的な映画との出会いでした。
▽ 映画『博士と彼女のセオリー』
2015年3月13日(金)
TOHOシネマズシャンテ他全国ロードショー
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